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(腐)的感想文

隠れ腐女子の日常と小説や漫画の感想を書いてきます。

   

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まことの華姫

まことの華姫/畠中恵
真実(まこと)を引き受ける覚悟はあるか――
姉を殺したのは実の父かもしれないと疑う、地回りの親分山越の娘、お夏。
ある事件で身を損ね、人形師から芸人に転じた過去をもつ月草。
やむにやまれぬ想いを抱え、客は今日もまことを求めてお華に会いにやって来る。
でも真実は、知ってしまえば後戻りできない怖さもはらんでいて……
たくみな謎解きと軽妙な掛け合いで江戸市井の悲喜こもごもを描き出す筆者の新境地!

ヒロインは、姫様人形――!?
ちょっぴりヘタレの芸人月草が操るのは、外見と愛想はめっぽうよいが口は悪い姫様人形のお華。
今宵も江戸両国の見世物小屋では、お華が真実を語ると、もっぱらの評判だ。

洒脱な人形語りで江戸の事件を快刀乱麻!
推理、人情、笑いあり。
新たな畠中ワールド、開幕!


図書館で借りてきました。
畠中さんの作品は色々読みたいけど読んでない本あるんですけど新刊コーナーにあったのでつい……。


【序】
【まことの華姫】
【十人いた】
【両国からの客】
【夢買い】
【昔から来た死】
【終】

が収録されています。

以前、特高いお坊さんが掘った「真の井戸」があったんだとか。
問えば真実の答えが返ってきたその井戸から出てきた玉がお華の両目には使われていて、それゆえにお華は真実を見通す"まことの華姫"と呼ばれているんです。

そんな姫様人形のお華と、人形を操る芸人(腹話術師)月草、地回りの親分の娘・お夏ちゃんがメインキャラクター。

人形が探偵?役ということで一番最初に連想したのは安孫子武丸さんの人形シリーズでした。
大昔に一度読んだっきりだったんですが、人形が探偵という設定の奇抜さだけは覚えていました。

なんというか、畠中作品は時代物としてはかなり読みやすいのですが、今回は普段より輪をかけて読みやすくてびっくりしてしまいました。
3時間弱で読み切りました。本文の上部に不自然なくらいな空白があるのでもしかしたら文字数自体も少ないのかもしれませんね。

【序】【終】はお夏ちゃんの視点で語られているんですが、ものすごく幼い印象を受けます。
お夏ちゃんは13歳ということで、13歳の女の子って結構大人なイメージだし本編でも多少幼い気はしましたが、そこまで幼い印象は受けなかったのでちょっと違和感がありました。
でもこの時代って数え年でしょうし、12歳ならワンチャンありかな?

畠中作品ということで、華姫は実は本当に……って可能性もあるのでは?なんて思っていたのですが、そういう訳ではなさそう。
でもそうすると、「まこととなった」華姫の言葉は一体何だったのかな、と。
【十人いた】なんかはともかく、【両国からの客】の言葉は月草が言ってるにしてはちょっと腑に落ちないんですよね。
うーん。続編でその辺に触れてもらえるといいな。

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紙片は告発する

紙片は告発する/D・M・ディヴァイン(訳/中村有希)
周囲から軽んじられているタイピストのルースは、職場で拾った奇妙な紙片のことを警察に話すつもりだと、町政庁舎(タウンホール)の同僚たちに漏らしてしまう。その夜、彼女は何者かに殺害された……! 現在の町は、町長選出をめぐって揺れており、少なからぬ数の人間が秘密をかかえている。発覚を恐れ、口を封じたのは誰か? 地方都市を起きた殺人事件とその謎解き、筆者真骨頂の犯人当て!


本が好き!さんを通じて東京創元社さんからご恵贈いただきました。
最近、翻訳ものが多いのは何かと頂戴する本が多いからだったりします。


物語はキルクラノンという町が舞台。その町の議会運営を行うタウンホールがメインです。
大小様々な秘密を抱える人々を相手に、なりゆきで自身の身を守るためにも副書記官のジェニファーが探偵役を務めます。


基本的に私は、順番通り本編を読んだあとに解説やあとがきを読むのですが、解説を読んで驚きました。
それというのも、この作品というのは1970年に発表された作品をこの度邦訳したものなんだとか。
発表からおよそ半世紀もたつ作品だというのにそういう古臭さが全く感じられない作品でした。
いや、タイピストとか携帯電話が登場しないこととかそういう点では時代を感じないこともないのですが、全然気にせずさらりと読めました。

どちらかというと、すっごい普通に飲酒運転してたり、今なら絶対騒がれるセクハラ発言だったりLGBT問題だったりそちらの方に時代を感じてしまいました。
あとは、日本人だとお見舞いに菊の花を持っていくことなど、文化の違いの問題なんでしょうがそちらの方が気になってしまいました。

私自身が大掛かりな仕掛けの施された新本格やライトミステリーばかりを読んでいるせいか、ミステリーとしては、地味というか物足りない印象を受けました。
ジェニファーの一人称で進むがゆえに、犯人の正体にはなるほどなーとは思いましたけども。


この作品、冒頭はルースの視点で語られるんです。
ルースは警察官のボーイフレンドとのデートを楽しみにして、うきうきと準備をしている最中に殺害されています。

このボーイフレンド・クリスは全編を通じて登場するのですが、まあルースとどうこうする気はなかったようですしそういう意味ではルースは幸せの中で死ねたのかな?なんてことを思ってしまいました。
恋は盲目というか、ルースはこのままクリスと付き合っていても傷つく未来しかなかったでしょうしね。
でもまあ、殺されるほど悪い子ではなかったでしょうし、その辺は辛いところです。


後半になって見えるようになるジェニファーの弱い部分。
彼女を呪縛のようにとらえていた「泣くのは明日にしよう」という言葉。
それから解放されたのは良かったんじゃないかな、と思います。


この方は故人で、そう多くの作品を残しているわけではないようなのですが、ほとんどの作品が邦訳されています。
シリーズもの等はないようですし、いつか別の作品も読んでみたいなとおもいました。

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ゴールドフィンチ 全4巻

ゴールドフィンチ 1/ドナ・タート
美術館爆破テロ――少年は母を失い、1枚の小さな鳥(ゴールドフィンチ)の名画を持ち去った。
美術館爆破テロで母を亡くした少年・テオは、その時美術館から1枚の名画を持ち去った――レンブラントとフェルメールを結ぶ画家、ファブリティウスの「ごしきひわ」。 孤児となったテオはそのオランダ黄金時代の小さな名画とともに、波乱万丈の運命を辿ってゆく。友情と裏切り、恋と失望、ドラッグとギャング、そして名画をめぐる恐れと魅了……。現代という災難を前に、不器用にも生を貫く人物たち。「21世紀のディケンズ」とも称された長編大作全4巻、刊行開始。
ゴールドフィンチ 2/ドナ・タート
舞台はカジノと砂漠の街へ――
悪友・ボリスと出会い、テオの運命は回りだす
突如現れた父とその恋人に連れられ、テオはようやく希望を見出しかけたニューヨークを後にした。ラスベガスの突き抜けるほど青い空、砂漠、ギャンブル、そしてドラッグ。そこではじまる新たな学校生活――ニューヨークとは全く異なるその地で、テオは生涯の友となるボリスと出会う。数ヶ国語を操るボリスとの狂騒的日々のなか、テオの運命は周り出し、物語は意外な方向へと動き始める……。世界32カ国で翻訳された大ベストセラー、待望の第2巻。
ゴールドフィンチ 3/ドナ・タート
激動のベガスから8年。再会と死別、詐欺と脅迫、そして人生の決断へ――
8年後、天才家具職人ホービーのもとで骨董ディーラーとしての道を歩みはじめたテオはある日、かつて身を寄せたバーバー家の長男プラットと出会った。そしてバーバー家の変わり果てた姿を目にする。一方で、骨董店の顧客から何度も届く手紙に、テオは焦りをつのらせる。運命は残酷で、生きるとは災難なのかもしれないが、この世界から退却するわけにはいかない――寡作の世界的ベストセラー作家による11年ぶりの超大作、第3巻。
ゴールドフィンチ 4/ドナ・タート
「流血」、「殺人」、そして物語は最終章(クライマックス)へ
人生は災難だ――だがぼくは、決して世界から退かない
ボリスとの再会で絵が奪われたことを知ったテオ。裏社会のルートを流れた絵を追い、キッツィとの結婚パーティーの最中、テオはボリスとともにアムステルダムへと飛んだ。流血と殺人、そして「独房監禁生活」……、テオの運命は1枚の名画とともに、ついに最終章へ――運命は残酷だが、でたらめではない。「死」はつねに勝つが、ぼくたちはそれにひれ伏せなければならないわけではない。全世界絶賛、当代最高のストーリーテラーによる大長編、ついに最終巻。


先日の感想でちらっと書いていた本が好き!さんからすでに頂いていた次の本というのはこちらでした。
いやー、色々大変でした。


テオことシオドア・デッカーが主人公。
彼の少年期から青年期にかけての運命と小さな絵画「ごしきひわ」に翻弄される様が描かれています。

この作品のタイトルでもあるごしきひわ(ゴールドフィンチ)はカレル・ファブリティウスによって描かれた作品のことを指します。
表紙のイラストがそうです。全体を見たい方は「ごしきひわ」で検索してみてください。
ファブリティウスは17世紀前半の画家で、あのレンブラントの弟子でもあった存在とのことで将来を有望された画家だったんだとか。
しかしながら、彼は大規模な爆発事故に巻き込まれ、わずか32歳で亡くなったそうです。その時に彼の作品の多くは失われ、現存するのはこのごしきひわをはじめ10点あまりといわれています。

テオはある日、母とたまたま訪れた美術館で爆破テロに巻き込まれます。
混乱の最中、謎めいた老人に絵を持っていくように指示され実際に持ち出してしまうのです。
様々なことに翻弄されながらもどうにかこうにかテオが生き抜いていく様子が描かれています。


いったいどうなってしまうのだろう?とドキドキしながら読み進めることができました。
が、作品全体に漂う欝々とした死の雰囲気に読んでいてちょっと疲れてしまったのも事実です。
テオの経験は悲惨ですし、PTSDに苦しむのもわかります。
それでも現代日本人として普通に生活している身としては次々出てくる麻薬(ドラッグ)がどこまで合法でどこからか違法なのかもわからず、テオが転落していく様を見ているのもつらかったです。

このブログのカテゴリわけを見ていただいてもわかると思うのですが、私は翻訳作品を読むことはあまりありません。
せいぜいがYAや児童書のファンタジーぐらい。 翻訳独特の雰囲気というか、文化圏の違いによる常識や基礎知識の違いなどが目に見えないながらも存在しているように感じられてしまって。私はそれがどうも苦手で(汗)
多分、数をこなしていけばそういった違和感も薄れていくのでしょうけど、そんな機会もないまま今を迎えています。

そんな私が読むにはこの本は非常に難しかったっていうのもあるんですが、時間制限があったこともあり物語の表層程度をなぞっただけの私が何か語るのはおこがましい気がしてなりません。

短いですが、今回はこんなところで。
いつの日か、じっくり時間をかけて読み直したいと思います。

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