僕とおじいちゃんと魔法の塔 1/香月日輪
岬にたたずむ黒い塔。まるでお化け屋敷のようなその塔は、鎖と南京錠に封印されているはずだった。だけど、ある日、塔に行ってみると、そこには、僕が生まれる前に亡くなったおじいちゃんが住んでいた! しかもその塔には、もっと驚く秘密もあって……!? 幽霊のくせに(だからこそ?)ヘンテコなおじいちゃんとの出会いが、僕の決まりきった生活を変えていく――!!
運命を変えられた僕のびっくりするような毎日がはじまった!!
妖怪アパートの幽雅な日常の香月日輪(こうづきひのわ)さんの作品。
1巻となってますが、もともとは通信教育大手のチャレンジ5年生にて連載されていたものを加筆修正したものです。
つまり、ここまでで完結しているってこと。子供でも比較的読みやすいってことです。
作者も続編を依頼されて困ったとあとがきで触れてます。
香月さんの作品は子供の成長とそれを見守る大人を描くことが多いのですが、今回もそうです。
そして勧善懲悪って訳じゃないので、読書感想文にもいいんじゃないでしょうか。
閑話休題。
主人公は小学校6年生の龍神(たつみ)。
家族はちょっとおかたい両親と1つ下の良く出来た弟と妹。
家族との生活にちょっと違和感を感じつつ暮らしていました。
よく出来た弟がすぐ下にいるってのは嫌だろうなぁ、と思ったのですが、そんなことは全く持って触れられていませんでした。
両親のいうことにただ従っていた龍神は、塔に住む死んだはずのおじいちゃんと交流していく中でいろいろなことを考えるようになります。
作中で足に障害を持つ少年・信久が出てくるのですが、その子は後に龍神の親友になるのですが、この子の親がありえないな、と。
運動会の徒競走。普通に走ったら信久がビリになるのは分かりきってます。
だから『全員で手を繋いで走りましょう』。
いやいやいや。なんだそれ!
マジでびっくりしました。
その子が障害を持っているのは事実なんですから、モンスターペアレントとは違うのかもしれませんが、それに龍神以外疑問を覚えなかったのが不思議で仕方ない。
可哀想な子・信久に優しくしてあげるのは当然。疑問を覚えた龍神は悪い人。
だから謝りなさい、とそれを親が諭すってのにいらいらしました。
多分、小学生に善悪の難しさを考えさせるためにかなりオーバーな表現をしているのだと思うのですが。
龍神のお父さんの気持ちも分からなくもないんですが、小学生の子供にお金の話をするお父さんはすごく小さい人だな、と。
これで龍神が高校生とかだっていうならまだわからなくもないんですけどね。高校生なら働けます。でも小学生は働くことができませんから。
大人って自分が子供のころ思ったことを忘れてしまうんですよね。
そして自分が嫌だったことをやってしまう。
そんな大人になりたくはないと思いつつ、多くの大人はそうなってしまう。
難しいですね。
[2回]