宝の山 商い同心お調べ帖/梶よう子
高すぎる値段の裏に謎がある。
物の値段を見張る同心が人情と算盤で事件を解決!
新機軸の時代ミステリー誕生!
この世にいらねえモンなんて生まれてこない。
江戸の街を繁栄させるのは物が動き、銭が動くことだ――
いなりずしから贋金まで、物価にまつわる騒動の始末に興奮する同心・澤本神人。家では亡くなった妹の娘・多代を男手ひとつで育ててきたが、そこに居酒屋の美人女将が現れて――
物の値段に人情を吹き込む新機軸の時代ミステリー!
図書館で借りてきました。
ようやく読み終わることが出来ました。
【雪花菜(きらず)】
【犬走り】
【宝の山】
【鶴と亀】
【幾世餅】
【富士見酒】
【煙に巻く】
が収録されています。
雪花菜って綺麗な名前ですが、ようはおからのことなんですよね。
初めて知ったのですが、日本人のこういう風流な感じには単純に感心してしまいます。
以前紹介した
ことり屋おけいと同じ作者さんのものだったので、結構期待していました。
が、何かと忙しくて一度の貸出期間では読み切れず、もう1回借りて読み切りました。
ぶっちゃけ、前半を読んだのが二週間以上前のことなので細部は忘れてきてますね。
物語の主人公・澤本神人は、同心ではありますが普段こういった作品では取り上げられることのない諸色調掛同心(しょしきしらべがかりどうしん)です。
帯にある「物の値段を見張る同心」というのがわかりやすいですね。
普段目にする同心が殺人なんかの大きな事件を担当する捜査一課だとしたら、こちらは詐欺やなんかを担当する捜査二課といったところでしょうか。
思ったより面白かったです。
時代小説こそ読みますが、ほとんど町人や商人が主人公のものばかりということもあり、諸色調掛同心の存在すら知らずにいたので、そういう意味でも勉強になりました。
事件を追っていくうちに、様々な出来事がつながっていくという展開が好きなのでやっぱりこういう連作短編はいいなぁと。
後はそうですね。
神人と姪っ子の多代との微妙な関係にも目がひかれました。
妬と帰された妹の忘れ形見を必死に育てて気づけば当人は三十路を迎えていた訳ですが、とある事件がきっかけで良い人とも出会うことが出来たようですし。
実際に親子となるのはまだまだ先のことなのでしょうが、おけいが悲しい結末だっただけに、幸せな未来が想像できるのこの作品は良かったです。
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