櫻子さんの足下には死体が埋まっている/太田紫織
北海道、旭川。平凡な高校生の僕は、レトロなお屋敷に住む美人なお嬢様、櫻子さんと知り合いだ。けれど彼女には、理解出来ない嗜好がある。なんと彼女は「三度の飯より骨が好き」。
骨を組み立てる標本士である一方、彼女は殺人事件の謎を解く、検死官の役もこなす。そこに「死」がある限り、謎は解かずにいられない。そしてのくは、今日も彼女に振り回されて……。
エンタメ界期待の新人が放つ、最強キャラ×ライトミステリ!
図書館で借りてきました。
発売当時から気になっていた作品なので読めて良かったです。
【プロローグ】
【第壱骨 美しい人】
【第弐骨 頭(こうべ)】
【第参骨 薔薇の木の下】
【エピローグ】
が収録されています。
プロローグとエピローグがありますが、短編連作の体なのこの巻はどの話から読んでも大丈夫だと思います。
事実、アニメでは【頭】が一話として放送されていたはずですし。
前知識はアニメを一通り見ている程度です。
アニメでみているからなーと思いつつ読み始めたのですが、収録されている3話中2話はアニメにならなかった話だったのでアニメをみてても十分楽しめました。
物語は骨を愛してやまない標本士のお嬢様・櫻子さんと物語の語り手である舘脇少年の物語です。
1話は少年の淡い青春の思い出的なお姉さんの死を、2話は骸骨と心中死体の謎を、3話は秘められた薔薇の下の約束について描かれています。
物語の語り口から現在進行形の話を語っているかと思っていたのですが、2話ラストで山路巡査との交流について触れられているところで
「美酒を味わいながら、甘エビをつまみに櫻子さんの『武勇伝』に二人で花を咲かせるようになるのだけれど」(p183)
とあるのです。なので、この話が語られているのは少なくても作中で高校生である少年がお酒を飲めるようになった数年後以降であるということがわかります。
深読みしたくなる言葉も同じページにあるんですよね。
「櫻子さんが受け取れなくなった後は、かわりに僕の元に届けられるようになった」
うーん、これはどういう事情で受け取れなくなったのか、気になるところです。
この作品の舞台は北海道旭川。
作者が札幌出身、旭川に暮らしていたこともあったらしく随所に北海道あるあるがちりばめられています。
アニメでも登場するコンビニがセイコーマート(道内を網羅しているコンビニ。札幌をはじめある程度の市ならともかく田舎だとここと個人経営の商店ぐらいしかなかったりすることも。通称セイコマ)だったり、ビタミンカステラが登場したりと北海道感がでていたんです。
原作からしてそうだったんですね。
ゆめぴりかは高級品ってくだりには思わずくすりとしてしまいました。
そうなんですよねー。
ふつうは特売のほしのゆめかななつぼしです。一昔前はきらら397なんかもありましたけどめっきり見かけなくなりましたね。
閑話休題。
ミステリとしてはちょっと弱いというか、すべての情報が提示されるタイプのものではないのですが、それでも読んでいてわくわくするし、櫻子さんは次はどんなことをしてくれるんだろう?と気になってしまういい作品でした。
3話の影響で、響野夏菜さんのS黄尾読みたくなりました。
多分
羊たちの祭壇 ?でももう図書館からなくなってしまったんですよね……。いつか読み直したいものです。
このシリーズは図書館に続きが数冊あったのでまた借りてきたいと思います。
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