空想クラブ/逸木裕
吉見駿は空想好きな中学生。祖父から受け継いだ<力>によって、見たい風景を「見る」ことができる。
かつて共に「空想クラブ」を作った親友・真夜の葬儀の帰り道、駿は河川敷で幽霊となった彼女と再開する。川で命を落とした真夜は、死の瞬間に抱いた「謎」のために、河川敷から動けなくなってしまったという。自分だけが真夜の姿を見ることができると知った駿は、「空想クラブ」の仲間と彼女の死の真相を探っていくが――。
「絶対に、また、どこかで会おうね」
図書館本。
この方の作品、何度か読んでみようとは思っていたのですが機会に恵まれず。今回初です。
物語は、祖父から「空想」の扉を開ける力を受け継いだ駿が主人公。
その不思議な力で、亡くなった真夜の姿を見れることに気づくところから始まります。
事故で死んだと思われた真夜ですが、当人に話を聞くとどうも様相が違っていて。
その場には真夜が助けようとした「子供」がいたというのです。
川で溺れていたという「子供」の安否が気になって、河川敷から出ることが出来なくなってしまった真夜。
空想を見ることが出来る駿、ハンターの目を持つ探求心にあふれた真夜、
運動神経がよくリーダーシップにあふれた隼人、冷静な目を持つ美術の申し子である圭一郎、
そして、みんなの調停役でうまくバランスを取っていた涼子。
『稲妻の日』をきっかけにバラバラになった「空想クラブ」の面々が彼女を成仏させるため、「子供」を探すことになるのです。
読んでいて、既視感というか何かがちらつくなーと思っていたのですが、あれですね。
「
あの花」。私まともに見たことないんですが、なんとなくのストーリーが似ているなぁ、と。
あの花から恋愛要素を引いて、不思議要素を足したとでもいえばいいでしょうか。
あの花をリスペクトしている人からしたら、ちょっと物足りないかもしれない。
ぶっちゃけ、「子供」の安否というか、真夜の死の真相はかなり胸糞悪いです。
やりきれないというか、まさに不条理。そんな理由で死んだのか、と読んでいてもつらい。
真夜に隠し事をしようとしたのも理解できます。その隠し事はすぐにばれてしまうわけですが、真夜を襲った空虚感はとてもすさまじかったでしょう。
それでも最終的には、彼女は、「空想クラブ」の面々は救われたと思います。
いつか彼らの再会が訪れることが願って。
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