天華無敵! 5/ひびき遊
(力が欲しい。
白華を救えるだけの力がっ!)
天華の声がGに届く。
Gは彼女の意思に従う。
「俺にお前の力をよこせ。そうすれば俺はお前に力を与える」
天華の裸の腕をそっと取り、その精命力を吸収するG。急激な消耗が少女を蝕み、そして……。
白華が“白い”Gに連れ去られてから2週間が経過した。だが。帝國は白華救出に動こうとしない。一方、天華は幽閉されていた。絶望の中、天華は悟る。帝國に必要なのは、姫の“血”であることを。この瞬間、天華は、「いらない姫」ではなくなっていた――。
少女は進む。光と闇の中を。双子冒険ファンタジー、白熱の第5弾!!
いつまでもあの暖かそうなテンプレートなのはどうだろう?と思ったので変えてみました。
だいぶ雰囲気が変わった気がします。
さて、今日は天華無敵の5巻です。
前巻を読んだときにさっさと読んでしまいたい~とか言っていたのですが、すっかり忘れてました。
4巻の終わりは白華が、白いGに連れ去られて、Mのメッセージを聞いて――ってところでしたか。
なんでさっさと続きを読まなかったのだろう、というくらい気になる終り方でしたね。
あらすじにもある通り、白華を探しにいきたい天華ですが、幽閉されて自由を奪われてしまいます。
「いらない姫」として自由奔放に過ごしていた天華ですが、それでも姫ですからね。
白華と双子であるということは先代巫女の血をひいているってことで、天華自身に巫女としての能力がなくても、その子どもに能力があればいいってことなんですよね。
この作品の世界観における結婚適齢期はよくわかりませんが、16歳ってことは子どもは産めるでしょうしね。
その相手としてアルが選ばれたのは、作中でも語られてましたが予定調和だったんですよね。
男子禁制の神殿において、天華や白華の幼なじみとして登場したアルにはちょっと違和感ありましたからね。
アルが神殿に出入りするようになったのが、剣聖になった後だというのならともかく、剣聖になる前ですから。
でも結局は当人同士の意思は無視するんだから、婿候補と接触させる必要は特にないんじゃないのかなーとか思ってみたり。
まあいいんですけどね。
天華を引っ張って帝國を飛び出していくアルは無駄にかっこよかったです。
たくさん努力して剣聖になったというのに、アルは白華を、天華を助けるために剣聖の地位を捨てる覚悟で脱出を試みます。
でも、ガドさんに持ってかれた気がしないでもないですね(笑)
前巻で補佐官アカネを助けたかっただけなのに、結局はMの手先として働くことになっていた火の剣聖・ガド。あ、元か。
今巻では動くこともままならないほどの怪我を負ったままで登場します。
で、この人は相談にやってきたアルを突き放したりしているんですが、それでも3人の剣聖に囲まれて逃げあぐねていたアルと天華を助けに現れ、全力で戦ったあとには全ての罪を引っ被って逝くのですからね。
最期の様は本当に剣聖だな、と思いました。
Gの、精書のなりたちが明らかになります。
精書は傲慢な人間たちの手によって作られた何とも惨たらしい、酷いものでした。
精書のなりたちがわかった今ではMが最後まで世界を壊すことにこだわり続けた理由もわからなくないです。
MがMとなる前の姿――ミストがなんとも無邪気な少年で「13番目」を指折り数えて、MであったことにびっくりするぐらいMとの落差がひどくて……。
Mの前身の少年・ミストラルが実験の内容を知り狂っていくのですが、それにちょっと疑問が。
MとGが融合した際にGと繋がっていた天華も巻き込まれてしまったから、天華は1000年前の実験の内容を知り、グランや静香、ミストと接触することが出来たってことらしいんです。
でもあくまでも天華の存在はイレギュラーであり、虚構の世界では過去にあったことを変えることは出来ないから、グランがGとなるのを止めることは出来ない――ってことなんですよね?
なら天華の存在しえなかった1000年前の実験のときは一体誰がMに実験内容を知らせる役目をになったのでしょう?
ちょっと気になりました。
GがDを殺した場所であり、Gが精命核をなくした場所が現在の帝國のある位置であったからGはあの場所に封印されていたんでしょうね。
明記されてませんが、初代巫女――天華や白華の先祖ってユイファなのかな?とか思ってみたり。
兄の近くにいたいとか思って、巫女となることを了承していてもおかしくない気がするんですよ。
あ、でも龍眼がないか。じゃあ違うんですねきっと。
最後、Gが捨て身というか、自身を含む精書全てを破壊するつもりで、残っていた精機竜を起動させるのです。
Gの顛末は予想できました。力を使い切ったGは精書として認識されなくてただ1冊生き残るわけです。
まあ、6巻出てますしね。Gを失った状態で続編は出せないでしょう。
おもしろかったです。
次巻は初期から名前だけは出ていた天華たちの父親の話みたいです。
次巻は完璧に初読なので本当に楽しみ。
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