創竜伝 10 大英帝国最後の日/田中芳樹
竜堂四兄弟は、人類五十億人抹殺計画を遂行する四人姉妹(フォー・シスターズ)の本拠地英国(イギリス)へ飛ぶ。次々と襲いかかる魔物たちを退け、ロンドンにたどり着いた彼らを待ち受けていたのは、さらなる魔物、そして至上最大の敵・大君中の大君(タイクーン・オブ・タイクーンズ)(ああ、当然史上最強の戦士・小早川奈津子嬢も!)。人対の命運をかけた大決戦が今、始まる!
毎月のように田中芳樹さんの作品を読んでいるので、久しぶりな気がしなかったのですが、このところ読んでいたのは薬師寺涼子シリーズで、創竜伝は3月のはじめに読んだっきりでしたから、結構間空いてしまってますね。
でもまあ、数ヶ月程度この作品の刊行スピードを鑑みるに大したことないですけど。
今回の舞台はサブタイトルにもあるとおり、大英帝国――イギリスが舞台です。
イギリスで竜堂兄弟と小早川奈津子、牛種の手のものたちがおいかけっこを繰り広げます。
今巻の竜堂四兄弟における破壊活動は比較的少なめですね。
ロンドン橋くらいかな?
ランバート・クラークの屋敷が大規模に破壊されてますが、それを破壊したのは四兄弟というより小早川奈津子だし。
どれだけシリアスな会話をしていても、小早川奈津子が登場することで喜劇に変わってしまうのですから、本当にすごいよなぁ。
正直な話、小早川奈津子は多くの人間を虐殺しています。
ええ、今回もどれだけの数の人間を殺したのか定かじゃありません。
でも小早川奈津子の犯罪って特に気にならないんですよね。
あの性格だからなのか……。
今回、ランバートの中に潜んでいた化け物の正体が明らかになります。
共工なる人面蛇身の化け物なんですが、そう書くとラミアっぽいですね。
実際はラミアとは全然違うんですが、うまく説明できないのでその辺は実際に本編を読むかご自身で調べてご確認ください。
共工が竜種を祖としているのは納得。蛇は水神であり、竜もまた水神です。
思わずなるほど、と。
この共工がランバートの身の内に宿り、牛面と変化させたりしていた模様。
ランバートが最後まで抵抗しつくしたことから、宿主から追い出されて竜王にやられてしまうのですが、共工にたいしては特に思うところはありませんね。
それよりもランバートが解放されたことの方が良かったな、と。
彼は大君になることなんか望んじゃいなかったわけですし、そこまでの大物でもないし。
一生病院から出れないような生涯をおくることになるのかもしれませんが、大君として君臨しているよりはよかったんじゃないかな。
四人姉妹の五十億人は指導者がいなくなったことにより、頓挫してしまいました。
が、世界中の混乱はまだまだおさまりません。
四兄弟と茉理ちゃんたちが合流して日本に帰ってきます。
束の間の平穏を取り戻しますが、これは本当に一時的なものでまた騒動が巻き起こるのでしょうね。
次巻は確か外伝作品だったかな?
ということはあと2冊で追いついてしまうのか……。
ゆっくり読みたいと思います。
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