0能者ミナト 4/葉山透
豪華客船に現れる船幽霊。柄杓で水を撒くだけの時代錯誤な怪異に巨大な船を沈められる訳がない。湊が依頼を受けたのは言うまでもなく――クルーズを楽しむためだった。
ユウキと沙耶は湊に見切りをつけ、早々に事件を解決。これで大っぴらに遊べるとばかりに、湊は泥酔しカジノでボヤ騒ぎまで起こす始末。
だが、怪異は終わっていなかった。巨体を誇る豪華客船が傾き始めたのだ。裏に潜む本物の怪異の仕業か? 転覆寸前の極限状況の中、湊の科学的推理が始まる!
昨日読み切れなかったのはこれでした。
このシリーズにしては薄いからそんなに時間かからないかな?と思って読み始めたんですが、いろいろあって読む時間が削られてしまって。
今回は
【船】と
【叫】が収録されています。
【叫】は閑話。いつもの保護者組の喫茶店でのやりとりなので、実質本編は
【船】だけですね。
前巻までは本編2話に閑話で構成されていたんで、今回は薄いんだなと判断したんですが、1話とカウントするには
【船】は長かったです。
あらすじにもあるとおり、今回の舞台は豪華客船。
豪華客船=沈没の危機!
というある意味お約束の展開です。お約束とはいえ、怪異を絡め、かつ科学的考証を行うわけですから、作者も大変だろうなぁと思わされます。
今回の怪異は「船幽霊」。
今までの怪異に比べるとかなりメジャーといってもいいんじゃないでしょうか。
個人的には海の怪異というとミサキもありだなぁとか思いながら読み進めていました。
閑話休題。
はじめはなんてことない怪異だと思わされました。
あらすじにもあるとおり、依頼をさっさと終わらせて遊ぶ気だったんですから。
で、実際にすんなり見つけて退治して(この時点で仕事したのは子供だけ湊は何もしてないあたりらしいです)。
後は遊ぶぞー!ってなるんですが、そう簡単にいくわけもなく。
まあ、実質1話しか収録されていないのにも関わらず、3分の1も進んでいないんですからまだ何かあるんだなってのはすぐわかりましたけど。
おもしろかったです。
傾き沈没間近の豪華客船、2ヶ月前に沈んだはずの巨大タンカー、凍る海水面……エトセトラ。
演出が派手なので、文章で読むより映画とかにしたらおもしろいんだろうなぁと思って読んでいました。
恋人を亡くした彼女にも一歩踏み出すきっかけが与えられそれも良かったなと。
彼女が湊と関わることはもうないでしょうからこれからどうなるかはわかりませんが、幸せになってもらいたいものですね。
最後、
【叫】で提示された疑問。
豪華客船が沈みかけた理由は湊により解明されました。
唯一残った謎。それはなぜ巨大タンカーが沈んだのかというもの。
現代の知識をもった船幽霊は確かに驚異です。
しかし、本来タンカーにいたであろう船幽霊は古い船幽霊のはずなんです。
典型的な「柄杓で水を汲み舟を沈めること」しか出来ない訳で。小舟ならいざ知らず、豪華客船や巨大タンカーで船幽霊がすくう水など何の問題もないレベルのものなんです。
それなのに、なぜ巨大タンカーは沈んだのか。
湊の語った推測が確認されることはないでしょう。
けどそれが真実だとしたらとても悲しいことなんでしょうね。
そういや、ユウキの親の話もちらりと語られていましたね。
なにやら確執がありそうな感じでしたが、いったい何があるのか……。
次巻には湊対詐欺師の対決が収録されるよう。
うわー舌戦がすごそう。詐欺師って頭のいい人間しか出来ないだろうから、本当にすごいことになりそうです。
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