真っ暗な夜明け/氷川透
推理小説家志望の氷川透は久々にバンド仲間と再会した。が、散会後に外で別れたはずのリーダーが地下鉄の駅構内で撲殺された。現場/人の出入りなしの閉鎖空間。容疑者/メンバー全員。新展開/仲間の自殺!? 非常の論理が唸りをあげ華麗な捻り技が立て続けに炸裂する。島田荘司氏も瞠目するメフィスト賞受賞作!
図書館で借りてきました。
以前読んことがあるのですが、探偵役が作者と同名の「氷川透」であったこと、駅で事件がおこること、途中の間違った推理くらいしか覚えていなかったので、楽しめました。
正直な話、物語序盤では物語に集中できませんでした。
なんというか、視点があっち行ったりこっち行ったりが激しかったんですよね。
バンドメンバーだけでも7人いますし、メンバーたちの関係とかそういうものをある程度把握するまでちょっと大変でした。
それが気になったのは事件が起きるまでが思いのほか長かったからなのかもしれません。
事件が起きてからは電話のシーンがめちゃくちゃ多かったような印象があります。
電話で意見交換を求めるのは社会人であり、皆にそれぞれの生活があること、学園モノのように自然に顔を付き合わせることに無理があることから仕方ないのかもしれませんね。
それに後々明らかになる推理からして、電話がキーになりますしね。
この作品はえっと、ホームズでしたっけ?
『すべての不可能を消去して最後に残ったものがいかに奇妙なことであっても、それが真実となる』を地で行く感じ。
まあ、私ホームズというか、海外モノのミステリってほぼ読んだことないんでこの考え方を知ったのは名探偵コナンでだったりします(笑)
延々と情報を集めて可能性を考察して真実に近づいていきます。
ちょっとまだるっこしい感じもしますが、可能性をひとつひとつ吟味していく様は読んでいて非常に楽しかったです。
なので、「そういうのいいから早く犯人教えろよ」って思ってしまう人にはオススメ出来ないです。
事件に関係のないやりとりというか考察というかもところどころ挟まれる上、ノベルスで330ページと結構長いですし。
作中で、個人ホームページの日記が登場するんです。
今ならブログとかかなり一般的じゃないですか。
とりあえず、パソコンを調べることが一般的になった今からするとちょっと違和感を覚えました。
まあ、そればっかりは仕方ない。
あとちょっと気になったのは予測変換というか変換候補について。
その辺どうなのかなーと疑問に思ったのですが、偽装であることが推測される部分はそういうものがあっても説明できてしまうかも。
ついでにその頃のパソコンにそういう機能があったかどうかも疑問ですしね。
2000年の作品なので、11年前?
そのころ小学校でパソコンの授業をやった記憶がありますが、覚えてないなぁ……。
まあ作中で触れられていないことなので、そこまで気にしても仕方ない。
で、今回知ったのですが、この作品文庫化されてないんですね。
メフィスト賞受賞作って文庫化されるのが遅い気がしてたんですが、それでも10年立っても文庫化されてないってことはもう出版社側も文庫化する気がないんだろうなぁ。
というか、今ウィキペディアでちらっと調べてみたら同じ受賞作でも結構文庫化されてないもの多いですね。
シリーズになってるようなものは比較的文庫化されてるみたいですけど、そうじゃないものはほとんどされてないんですね。
知らなかったです。
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