大江戸妖怪かわら版 3 封印の娘/香月日輪
魔都大江戸で年を越したかわら版屋の少年記者・雀。新春早々、仕事仲間の桜丸やポーと連れ立って歌舞伎見物へ出かける。日吉座の花形役者・蘭秋の艶やかな魅力ととも に、物語ぬ惹かれた雀は、脚本が書いたのが雪消(ゆきげ)という白鬼の娘であることに驚く。美しく若い女の姿をした雪消は、ある理由で座敷牢の中にいた。
色々とトラブった大江戸、ようやく読めました!
読み始めると結構すらすらいけるんですけど、やっぱり癖あるので読み始めるまで時間かかっちゃうんですよね。
今回は雀の2度目の年越しが描かれます。
1度目は大江戸に『落ちて』きてしばらくして気が抜けたのか熱を出してしまい年越しを楽しむ余裕などなかったってことのようです。
大江戸と江戸が別物だといいつつも、きっと旧暦でしょうから、年越しは現代より2ヶ月ほどずれていると思ったほうがいいのでしょう。
梅の花が咲くとかあったので3月くらいかな、と。桜より早いですよね確か。
正直、北海道生まれの北海道育ちだと花の時期が一般と違うのでよくわかんなくなるんですよね。
桜は5月だし、一般的には紫陽花は梅雨時期のイメージだけど北海道では夏に咲いて今でも見れる花なので。
閑話休題。
今回、雀が出会うのはサブタイトルになっている『封印の娘』。
日吉座の脚本家である雪消。あらすじにあるとおり、雪消は座敷牢の中にいたんです。しかも、たくさんの札で封印されて。
雪消が封印されている理由。それは白鬼だから。
白鬼は、食人鬼なんです。まあ、大江戸に純粋な人は雀しかいないんで食人鬼というのはなんかちょっと違うんですけどね。
そしてその白鬼としての本能をなくすために一生を座敷牢の中で過ごしていくことを納得していた、と。
そんなこんなで、雀と雪消は仲良くなっていきます。
そこに雪消を力を手に入れるためだけに嫁にしたいと無茶いってくる人物がいるんです。
それが栄之進。栄之進は上級武士の三男坊で石潰しがひょんなことから家を継ぐことになるんです。
今まで自分を馬鹿にしてきたやつらを見返してやると、力ある白鬼の雪消との間に子どもを作ろうとしていたわけですね。
しかし、そんなこと雪消サイドも、栄之進の家サイドも許すわけがなく。
立ち消えるかと思った話でしたが、栄之進が暴走して雪消を封印の外に連れ出してしまうんです。
その場に雀がいたもんだからいけないんですよね。
雀は連れ去られた雪消のあとを追ってしまうわけですが、封印がとかれて白鬼の本性丸出しの雪消からしたら雀は「前から食べてみたかった存在」でしかないわけで。
間一髪、鬼火の旦那に助けられるわけですが、これトラウマもんですよね。
目の前で自分の親のような存在が、自分を助けて貫かれて。血が自分にも飛び散っているような状況で錯乱するなというほうが無理でしょう。
鬼火の旦那や桜丸が雀が気絶中の出来事をいろいろ秘密にしてるんですが、懸命ですね。
雪消と雀はこれからも良き友として付き合っていくのでしょう。
殺しかけた殺されかけた云々がなかったとしてもそこから恋愛感情に発展するということはない、と。
作中でも触れられていたんですが、雀が「恋」できるような状況じゃないってところでしょうか。
親に甘えるということをしなかった、否、出来なかった雀が鬼火の旦那に「甘えられる」ようになり、ようやく子どもらしさを手に入れて。
それを卒業してからじゃないと恋するようにはならないだろうってことなんですね。
だから、妖アパでも夕士にそういうフラグがなかったのかなぁとか思って読んでました。
両親を亡くし、親戚の家で気を張っていた夕士。
長谷は両手をひろげて甘えてくれることを待っていたんでしょうけど、夕士は長谷には甘えようとはしなかったんですよ。
家に遊びに行かなくなったとか、アパートにうつってからおごってもらうことを躊躇わなくなった様子なんかを見るとよくわかるかと。
それが寿荘に住むようになって住人たちに甘えられるようになって、ゆっくり育っていく様が描かれたわけですから、普通だったら田代ちゃんあたりとたつであろうフラグが微塵もたたなかったってことなんでしょうね。
納得しました。
おもしろかったです。
というか『第4回香月日輪まつり』の応募どうしよう。
10日(火)消印有効なんですが、この間の香月まつり当たったし、当たると思えないんですよね。
その前にまず特性サンクスカードってなんなんだろ?
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