からくりからくさ/梨木香歩
祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。静かな、けれどたしかな実感に満ちて重ねられてゆく日々。やさしく硬質な結界。だれかが孕む葛藤も、どこかでつながっている四人の思いも、すべてはこの結界と共にある。心を持つ不思議な人形「りかさん」を真ん中にして――。生命の連なりを支える絆を深く心に伝える物語。
ずいぶん前に古本市で手にいれたんですが、すっかり忘れていて。
ひっぱりだしてきました。
物語は4人の女性――蓉子、紀久、与希子、マーガレットと人形の「りかさん」が蓉子の祖母が住んでいた家で下宿というか共同生活を営んでいる様子を描いたもの。
たんたんと進んでいきます。
変化していないように見えて、少しずつ変化していっている。そんな話でした。
一見、そんなに厚そうに見えないんですが、やたら時間がかかりました。
改めて確認してみたら400ページを優に越えていて。道理で。
この方の作品ってあんまり読んだことないんですが、どことなくふわふわした作品だな、と毎回思わされます。
なんて表現したらいいかな。夢心地とでもいえばいいんでしょうか。
「やさしく硬質な結界」が私にとってはそういう風に感じられるんだと思います。
なんとなく現実味が薄いというか、少しずれているとでもいえばいいのか。
そんな感じなんですが、うまく伝わるでしょうか……。
りかさんの来歴を探るうちに自分たちのルーツをも紐解かれていくわけなんですが、これだけ繋がっているともう圧倒されてしまいます。
が、一気に読んだせいもあり自分の中でキャラが立たなくて。脳内で家系図がちゃんと作れなかったのがちょっと残念です。
けっこうごちゃごちゃしてるんですよねー。
この作品は、植物図鑑と色彩図鑑(でいいのかな?)を横において読みたいなと思いました。
あらすじにもあるとおり染色の話が多く出てくるのです。
で、その時に様々な色が登場するのです。基本的な色ならともかく、あまり聞き馴染みのない色もありいったいどんな色なのだろう、と。
染色の過程での色の変化も描かれるのですが、イメージが出来ないもので色の変わり方の面白さがいまひとつすごいと思えなくて。
同じように植物も次から次へと登場しますが、そのほとんどがいまいちわからなくて。
多分、見たことはあるんだと思いますよ? でもそれと名前が一致していないので……。
そちらも少し残念でした。
この作品の前日譚(多分、10年以上前の話になるのでしょうが)にあたる
りかさんなる作品もあるようです。
どうやら、蓉子が祖母からりかさんを貰ったころの話が描かれた作品のようです。
そちらも機会があったら読んでみたいなと思います。
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