占星術殺人事件/島田荘司
怪事件は、ひとりの画家の遺書から始まった。その内容は、六人の処女から肉体各部をとり、星座に合わせて新しい人体を合成する、というもの。
画家は密室で殺された。そして一ヶ月後には、六人の若い女性が行方不明!
奇想天外の構想、トリックて御手洗潔をデビューさせた、衝撃的傑作。
以前、古本市で手に入れた作品です。
実は御手洗潔シリーズというか島田荘司作品、はじめてだったりします。
この作品、初版が1987年。私が持っているのが45刷2005年に購入されたものですから、昭和から長く楽しまれている作品なんですね。
古い作品だからなのか、ただ単純にページ数を押さえるためなのかはわかりませんが、文字がかなり細かいです。
直前、大江戸妖怪かわら版(こちらはかなり大きい)を読んでいたせいもあるのでしょうが、ページを開いた瞬間「字小っさ!」と思ってしまいました。
この作品は、昭和11年(1936年)に起きた事件を43年後、昭和54年(1979年)に御手洗潔が謎をとき、その顛末をワトソン役である石岡和己が本にした、って形らしいです。
物語としては、なるほど奇想天外なトリックです。
そして今なら到底不可能なこのトリックはこの時代だからこそ出来たものだったのだな、と。
素直に関心しました。
いわゆる「読者への挑戦」が2度も挿入されており、作者の自信のほどがうかがえます。
読んでいると、かなり序盤で提示される手がかりというか、死体の状況に既視感を覚えました。
読み進めていくうちにその感覚はさらに強くなり、推理の途中で登場する平吉殺害方法(のちに否定されることになるのですが)を見てそれは決定的になりました。
これ
金田一少年じゃん!と。
ちょっと調べてみたところ、比較的有名な話なんですね。Wikipediaにのってました。
もちろん金田一少年があとになるのであろうことはわかりますが、古い金田一少年作品は立ち読み程度とはいえ一通り読んでいて。そちらのトリックをけっこう細かく覚えていたがためにこちらを素直に楽しむことができませんでした。
最近のものには注意書きがなされているようですが、私が読んだものにその注意書きがなされていたかは定かではありません。
こういう自力で解いたのではない「答え」ってすごくむなしい気がしました。
再読ならともかくはじめて読む本だからよけいです。
さらっと読める短編ならともかく、長い物語を読み終えて「やっぱり」となるのはすごくテンションがさがってしまいました。
探偵役として登場する御手洗潔は鬱気味で浮き沈みが激しい人物。
語り部であり、ワトソン役である石岡もまた思いこみが激しく御手洗の頭脳を完璧には認め切れていないよう。
どちらも読んでいてちょっとめんどくさいなと思ってしまいました。
それで2人の友人関係がなりたっているならそれはそれでいいのかな、とも思いますが。
はやみねかおるさんの描く名探偵・
夢水清志郎の「常識がなく集中すると寝食を忘れて倒れる」という設定は御手洗潔のオマージュなのかな?
前述の通り、島田荘司さんの本読むの今回が初めてだったんですが、ちょっと苦手かも。
でもまあ、今回は「泥がついた」状態のわけですから、また今度別の本読んでみたいと思います。
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