お面屋たまよし 不穏ノ祭/石川宏千花
妖面の始末は、お面屋の仕事
全ての責を引き受け、太良と甘楽は歩みつづける
妖面なんてなあ、ただの商売道具でしかないんだよ!――祭りに現れた≪お面処やましろ≫。
形だけの面作師見習いと、太良と甘楽の流儀がぶつかり合う。自分以外の誰かになれる特別な面、妖面がつむぎだす奇妙な縁を描いた、時代ファンタジー第3弾!
どうかあの子たちのいく先に、自分が伝えられなかった思いを伝えられる人が、ひとりでもたくさんいますように。
図書館で借りてきました。
石川さんの作品も3冊目なので、カテゴリ作りました。
【背中合わせの対話】
【木屑入りのお茶】
【波紋の行方】
の3編が収録されています。
太良と甘楽の面作師見習いの2人を中心に描いた時代ものシリーズです。
お面屋たまよし、
彼岸ノ祭に続くシリーズ3冊目です。
【背中合わせ】は初の同業者が登場しています。
以前もお面屋は登場していた気がしますが、妖面を売る裏の雅号を持つお面屋は初。
佐和と亥緒利という見習いたちですが、佐和は生きていくために仕方なく面を売り歩いていたわけですね。
そのため彼らは2人で長い時を過ごしながらも通じ合っているといえない状況でした。
今回、甘楽と太良と出会い素直じゃないながらも考え方が変わった佐和。
佐和と亥緒利のその後が見てみたいですね。
あるいは、亥緒利の心情なんかでも可です(笑)
【木屑入り】は、天狗の竜胆と、太良と甘楽の師匠である仁王次の話。
竜胆が明かした穏さまの伝説エピソードはすごいなぁ、と思う一方、恩返しが数年後のあたりがものすごく穏さまっぽい(笑)
少女にいいようにされてしまう迅雷は相変わらず可愛かったです。
【波紋】の展開は実は初?
妖面は正しい手順で外さなければいけないというのは初期から言われていましたが、今までは外さなくなり荒魂化してしまうか、きちんと外せるか。
あるいは、買うこと自体をやめるってのもありましたね。
正しい手順で外さなかったことによる弊害として、お鶴さんは聴覚をなくしました。
これは皆が皆、聴覚を失くすってことじゃないと思うんですがその辺はどうなのかな。
何かしらの後遺症が残ってしまうってことなんでしょうが、お鶴さん視点だったこともあり、明記はされていませんね。
妖面という「自分のなれる姿になれる面」を売り歩く少年たちを中心に描くこのシリーズ。
基本設定は同じながら十人十色の様を描いたこの作品はもっと評価されるべき作品だと思います。
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