ご破算で願いましては みとや・お瑛仕入帖/梶よう子
なんでもかでんも三十八文、江戸の百均『みとや』開店!
ワケあり品も商います!
しっかり物の看板娘お瑛と若旦那気質の頼りない兄、凸凹コンビが活躍する下町よろず屋繁盛記
小間物屋を営んでいた両親を永代橋の崩落事故で失ったお瑛。
兄と二人、ようやく十六歳の細腕で店を開いたものの、脳天気な兄が仕入れてくる困った品々に、てんてこまい。山ほどの数の算盤に、不気味な守り刀、恋歌が書かれた五枚の不思議な絵皿まで……。ふだんは健気で臆病なお瑛も、いざ舟を操れば男顔負けの腕前を発揮する。
いわくありげな品々をめぐる謎が、思わぬ人間模様を浮かびあがらせ、いつしか亡き父の秘密まで明らかに。
ちょっと切なくて、でも心が晴れやかになる時代小説。
図書館で借りてきました。
この方の作品は3作目になるのでカテゴリ作っておきますね。
【ご破算で願いましては】
【月に叢雲、花に嵐】
【我が待つ君】
【めんないちどり】
【天神さまが寝てござる】
【化粧映え】
が収録されています。
連作短編ですね。
帯にもあるように、物語は江戸の100均・みとやが舞台。
何でもかんでも三十八文だから「みとや」です。
でもまあ、かけ蕎麦が16文で天ぷらをプラスすると32文、並の草履が100文が市中価格らしいので100均というより300均のが実体には近いような記もしますが。
主人公のお瑛は、事故で両親をなくし、兄・長太郎とともにみとやを営み生計をたてていました。
長太郎が仕入れてくるワケあり商品をさばくうちにいろいろなものが見えてくる、という話です。
なんだろうな、この方のお話って必ずしもハッピーエンドではないんです。
おけいの時もそうだし、今回もお瑛兄弟が転落してしまった最大の原因が明らかになっていく課程を思えば素直に喜べません。
それでも読後感がすっきりしているのは、この方の描く女性が強いからなんだろうな、と。
どこかで自身の幸せを横に置いている印象はあるけれど、それでも前を向いて歩いてるというか、そんな印象です。
お瑛は永代橋の崩落で両親をなくし、そのトラウマで橋がわたれなくなってしまったんですね。
そこで橋をわたらないで生活するようにするのではなく、変わりに舟を習って川を横断するようになるってあたりがすごくわかりやすいんじゃないかな、と思います。
いつかお瑛にいい人が現れるとともに、トラウマを過去のものとして橋が渡れるようになってほしいものです。
続きが出そうな作品ではありますが、今のところ続編が発売されているような様子はありません。
またしばらくしたら図書館でチェックしてみようと思います。
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