南都あやかし帖~君よ知るや、ファールスの地~/仲町六絵
あやかしたちと遊ぶ、ジャパネスク・ファンタジー
南都、京の都のごとく栄えるこの都市に、遙か異国の地を引く青年妖術士・天竺ムスカがいた。
緑色の瞳を餅、喋る紅い鳥を友とする彼には、表の仕事である金貸し以外にもうひとつ裏の顔がある。不思議な力を秘めた刀剣をはじめ、物騒な事物が次々と舞い込んでくるのだ。
ムスルの構えた通称『天竺屋敷』に奉公に来た少女・葉月は、使え女として働くうちに、彼とともにあやかしと関わってゆくことになりーー。
図書館で借りてきました。
初めて読む作家さんですね。
【第1話 天竺ムスル】
【第2話 墓所の法理 前編】
【第3話 墓所の法理 後編】
【第4話 海とシャルバート】
が収録されています。
読み終わった感想としては素直に、なんだか中途半端だな、と思ってしまいました。
「あやかしたちと遊ぶ」というあおり文句、メディアワークス文庫から発売されているということで、青年に振り回される女の子を描いたドタバタものかな?と私は想像していたんです。
あやかしたちというのも、
しゃばけや
妖怪アパート、
夏目友人帳、あるいは
少年陰陽師のように個性あふれる存在で、主人公たちに寄り添おうとしてくれるのかな?と。
実際に読んでみると「あやかしたち」というのはなんだか語弊があるような気がします。
大きなくくりにしてしまえば、妖刀(某倶利伽羅龍のあの人を連想してしまいました)も幽霊もあやかしでしょうが、期待していたのが上記のようなものだったのでこれじゃない感がついてまわってしまいました。
妖術云々ってありますから和風ファンタジーだし、厳密には歴史小説としてはまずいのかもしれませんがムスルは実在した人物らしいです。
全く知りませんでした。
物語としては、ムスルの元に親の作った借金の片として葉月がやってくるところから始まります。
変わり者であるムスルのもとで、お互い少しずつ歩み寄り信頼していく様が描かれています。
じわじわ近づいていく2人の距離間は嫌いじゃありませんでしたが、私が期待していた話とは違ったので純粋に楽しめなかったのが残念です。
葉月の奉公期間が2年であることと、ムスルの故郷への思い云々でその後がどうなるのかは気になりました。
が、この本の続編が出版されるかは甚だ疑問です。元々掲載自体もイレギュラーだった上、掲載誌が休刊したのを未発表作ごとメディアワークス文庫で引き取ったって形らしいので。
続きがでるとしてもまだ先のことになるのではないかな?
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