僕の光輝く世界/山本弘
僕の目は見えない。だけど
真実は視えるんだ
推理をしない想像力探偵登場!
青春エンタメミステリー!!
とある事件で視力を失った少年・光輝。
彼は、聴覚・触覚・嗅覚情報などをもとに脳が創り出すイメージにより、目が見えていなくとも、本人にはまるで視覚があるように感じられる形質を獲得する。
それはアントン症候群と呼ばれる、きわめて珍しい症例だった。
そんな、光輝の前に訪れる奇妙な謎。
――消失する少女、突如変貌する世界、そして幽霊殺人事件……。
彼は自らの想像力を駆使し、事件に立ち向かう。
謎を解き、恋をし、少年は成長する。
傑作青春ミステリー、ここに誕生!
図書館で借りてきました。
はじめて読む作家さんですね。
【第一話 黄金仮面は笑う】
【第二話 少女は壁に消える】
【第三話 世界は夏の朝に終わる】
【第四話 幽霊はわらべ歌をささやく】
が収録されています。
連作短編集ですね。
帯のあらすじにもある通り、視力を失った少年・光輝が主人公。
光輝はアントン症候群と呼ばれる症状を発症しています。
簡単に説明すると視覚を失って何も見えてないはずのものを、脳が勝手に想像して補完してくれるというもの。
一見健常であると勘違いされがちですが、脳も万能ではありませんから様々な齟齬が生まれてしまうわけですね。
その齟齬が、光輝の無意識に影響し推理の材料となり、ガールフレンドの夕の力を借りて不可思議な現象を解明していきます。
読み終わった感想としては、単純に面白かったです。
これはアイディア勝ちといえると思います。
光輝の世界と実際の世界。この2つの世界での齟齬がうまく生きていたな、と。
途中で「アントン症候群ってもしかして作者の創作?」とか思っていたんですが、実際に存在するんですね。
全く知りませんでした。
夕との微妙な関係にちょっと複雑な気分になりました。
ぶっちゃけ、最初の夕はいい子ちゃんすぎてありえないなーと思っていたので本性にはある意味納得。
どうにかこうにか始まった2人ですが、これから先障害は多そうです。
あとはそうですね。
これ、ソフトカバーで出版されてますが、元々はメフィストに掲載されていた作品なんですね。
正直この作品はラノベレーベルで出すべきだったんじゃ?と思います。
主人公たちの年齢は低いですが、メディアワークス文庫とかちょっと対象年齢高めなラノベな印象です。
コミケとかニコニコ動画とか一定年齢以上の方はあんまり知らないと思うんですよ。
(まあ、小林幸子さんみたいな方もいますからお年を召していても例外はいるんでしょうが)
けど、講談社ってラノベレーベル弱いからなぁ。
講談社ラノベ文庫とホワイトハートくらい?ホワイトハートは少女レーベルだし……。
だから講談社ノベルスや講談社文庫にはラノベっぽい作品が普通に存在しているわけで。
それらになってしまえばあまり気にならないんでしょうけどね。
途中で登場した謎の女性の正体が気になります。
「その不思議な女性に関しては、これまた驚くべきことがいっぱいあったのが後で判明するのだが、それは別の話。今回の本筋からははずれるので省略する。」(p130)
とあるんですが、この1冊では特に説明されないまま終わってしまったんです。
次巻があるってことなのかな?
比較的新しい本なので次巻については不明ですね。
図書館で次巻を購入したら続きを借りたいと思います。
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