ナニュークたちの星座/雪舟えま(絵/カシワイ)
舞台は、地球人によるこの宇宙のどこかの移民星。子どもの目にしか見つけられない石を採取するのが仕事の、クローン少年たち。
やがて成長して、その役目を果たせなくなる時が。主人公の37922号は都会へ出て、宿舎からある日忽然と姿を消した、かつての彼の相棒を探す旅に出ました。
いまを生きる多感な10代~すべての大人たちに贈る!
ハッピーな新感覚SF★
SF苦手なんですが、この薄さなら問題ないかな?と思って図書館で借りてみました。
結果、全然大丈夫で良かったです。
物語は、帯にもある通りどこかの星が舞台。
その星では隠児石(かくれごいし)という光る石がいろんなものに使われているのです。
ただし、その採掘方法が少し特殊で。
石は子どもにしか見分けることが出来ず、見えていた子供たちも成長とともにその力を徐々に失ってしまうのだとか。
その石を採掘するために、作られたクローンたちは祖となった少年の名を取って、ナニュークと呼ばれていました。
そんなナニュークの一人である主人公の少年37922号が相棒である37923号を探しに街へ出るというお話。
SFというと大長編のイメージがあったんですが、実はこれ100ページもない本です。
途中見開きイラストだけのページや、イラストの上に文章が配されたページがいくつもある構成なので文字の量もそこまで多くありません。
30分そこそこで読み終えることが出来ました。
SF苦手な私ですが、SFらしい説明はクローンであることと、高度に発展した街並み程度の描写程度です。
これぐらいなら全然気にせず読めました。
なんといったらいいかな。
番号で呼ばれる存在というとどうしても
とある魔術の禁書目録というか超電磁砲の御坂妹たちシスターズを思いだしてしまったのです。
彼女たちとは産み出された経緯が全く違うので、似たような存在でありながらもその幸福度というか満足度?はだいぶ違うのではないのかな、と。
いや、シスターズの存在意義も徐々に変わっていくので序盤と比べると、ってことなんですけどね。
ナニュークたちは採掘できる時間を増やすためにと成長具合が普通の3倍程度ゆっくりであるとか、そういう製作者のエゴみたいなものがあるんです。
ですが、本人たちはそんなことを気にしていないんですよ。
同じ遺伝子を持つはずのナニュークたちもちょっとずつ身長や体型が違ったり、ほくろがあったりなかったり、性格が違ったりとそれぞれに個々をきちんと確立しているんですね。
それは2号3号の時代からそうだったからなのか、苦悩を乗り越えた指導役となった過去の少年たちの努力があったからなのかはわかりません。
それでも、彼らは自分は自分だと認めることが出来ているからこその、こんなハッピーな物語になったのかな、と。
とにかく気軽に読めるのに、読み終えるとほっこりするそんな素敵なお話でした。
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