いつかマのつく夕暮れに!/喬林知
捕まっちゃって大ピーンチ!なおれ・渋谷有利(ユーリ)(職業:魔王)は、なにかの手違いでこっちに流れ着いた親友の村田健(ムラケン)と一緒に、魔族と敵対する人間たちの国シマロンを横断することになってしまった! 頼みの綱の臣下たちはといえば、王佐(ギュンター)がおキク人形と雪男に分離し、長男(グウェンダル)は赤のアニシナ(マッド・マジカリスト)に振り回され、三男(ヴォルフラム)は婚約者(おれ)を探して三千里、それから次男(コンラッド)は……きっと絶対、どこかで生きてるはずで……。痛快ファンタジー、怒濤の急展開!
つい先日、前巻
きっとマのつく陽が昇る!を読んだのですが、続きが気になって仕方なかったので。
前巻は紅茶星人でフリンと狩ポニことマキシーン成敗して、ユーリがフリンに捕らえられて……ってところでしたか。
この作品ってコメディ色が強いイメージが非常に強かったんですが、ところどころ笑いが入るもの基本はシリアスです。
小シマロンと大シマロン。
人間の国の中でも大国のこの2つが手にした『箱』。
創主の力を封じ込めた4つの箱。
小シマロンが手にしたのは「風の終わり」、大シマロンが手にしたのは「地の果て」でしたか。
あと2つなんだったかなぁ……。
創主の存在はいまいちよくわからないものの、眞魔国の正式名称、
「偉大なる眞王とその民たる魔族に栄えあれ、ああ世界のすべては我等魔族から始まったのだということを忘れてはならない。創主たちをも打ち倒した力と叡智と勇気をもって魔族の繁栄は永遠なるものなり王国」
にもあるくらいなので過去にいろいろあったんでしょうね。
そして、「鍵」。
コンラッドの左腕は「風の終わり」の、ヒューブの左目が「地の果て」の鍵と似ているけど違うもの、とのこと。
ヒューブとグウェンダルがよく似ていたという描写があったはずですから、「地の果て」の鍵はグウェンダルってことなのかな?
アニメも「箱」の話とかほとんど見れてなかったんで正直あんまり覚えてなかったり。
BSで土曜9時にやってたと思うのですが、私当時高3で、模試とか講習とかそういうのが毎週のようにあって、泣く泣く諦めていた覚えがあります。
グウェンダルのヒューブへの対応。
確かにユーリに剣を向けたことは大罪でしょう。
あそこにユーリがいたら、怪我したわけでもないしとか、ニコラと生まれてくる子のことをあげたりしてヒューブのことなんてすぐに許してしまうのでしょうね。
グレタの思いが悲しかったです。
フリンさんがウィンコッドの毒を大シマロンに売ったわけが明らかにされます。
「カロリアの子どもたちを守りたかったから」。
小シマロンの属国であるカロリアは12歳になったら兵役につかなければならないんです。
徴兵され訓練を受け、そして、すぐに死んでいく。
その状況を変えたかったというのは嘘ではないのでしょう。
優しいユーリには非難しづらい理由です。
カロリアに入ってからこっちユーリはけっこう酷い目にあっているのですが、村田の存在があったから泣くことも嘆くことも出来なかったんですよね。
村田はこの世界のことを知らないでずっと地球にいると思っていたから。
よく読まなくてもいろいろとおかしな点は多々あるんですけど、状況が状況なのでユーリはそこまで頭回ってないです。
「魔術を使おうとしているから」とかヨザックの「睨下」呼びとか。
でも、そこにヴォルフがあらわれてしまったから堰が壊れてしまったんでしょうね。
あのヴォルフはかっこいいです。
どこまでいっても貴族なあの少年は、ユーリの背中を強く押すという意味では最適なのでしょう。
優しく押すならコンラッドなのでしょうが、コンラッドの生死はいまだ不明。
村田の正体もコンラッドの生死も次巻へ持ち越しです。
サラレギーが登場したあたりまでは読んだ覚えがあるのですが、すっかり忘れてしまっているのでものすごい楽しみだったりします。
早く続きが読みたいな。
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