金糸雀(カナリア)が啼(な)く夜 薬屋探偵妖綺談/高里椎奈
深山木薬店の三人組に分裂の危機が! 展覧会からサファイアを盗み出す犯罪計画に巻き込まれた座木とリベザル。だが一方で秋は盗難警備の依頼を受けていた! さらに、対決の場に突如現れた道化師の死体とは? 混乱する事態はいかなる結末を迎えるのか? 花屋の主従コンビが新登場する快調シリーズ第4弾。
2ヶ月ぶりの薬屋探偵です。もっと間あいてるような気がしていたのですが。
この作品、過去の紙媒体の記録を見ていたら高校生のときに1度読んでるみたいなんですが、まったく覚えてなかったです。
そういや、図書館で借りた覚えはあるのですが、内容に関しては微塵も……。
本に関しての記憶はそれなりに自信があったのですが、自信がなくなってきました(汗)
今回のメインは座木かな。
過去作品に名前だけは登場していた花屋「花花」のカイ(本当は漢字なんですが、出ない…orz)。
彼がリベザルに強制的に盗難を協力させようとするところからはじまります。
リベザル本人は気付かないのですが、催眠術にかけられて「カイに協力することが当たり前」だと思い込まされるのですね。
それを放置できない座木はカイに協力することになります。
しかもあらすじにもある通り、秋は警備側にまわることになるので、座木と秋が対立する形に。
座木が秋に挑むというのはこういう展開でもないとまずありえませんね。
秋の行動に異をとなえることぐらいはしそうですが、それだけで終りそうというか。
ボイコットをすることはあっても、敵にまわることはないというか。座木に関してはそういうイメージがあったので。
そういう意味ではこの話はけっこう貴重なのではないでしょうか。
カイの性格が結構好きです。
ちょっとおバカなんだけどいい人で、実は結構おしゃべりで。
元々群れを作る種族だということなので、仲間にさえなれればすごく大事にしてくれそうですし。
それは今回の盗難の目的――胭李(イエンリィ)の声を取り戻すためという理由を鑑みればわかりますよね。
「何が欲しい?」と聞かれて「新しい帽子」と答えたリベザル。
カイに「お前可愛い奴だなぁ」と評されてましたが、激しく同意します。
欲がないというか、ただ単にニュアンスの違いがわかってないだけなんだと思いますが、あれはすごく微笑ましい。
今回1番びっくりしたこと。
葉山さんってキャリアだったんですね!
びっくりです。とてもそうは見えませんよ。
あれ、階級って明らかにされてましたっけ?キャリアで25歳ならなんだろ警部とか警部補とかが普通なのかな?
でも昇進試験受けてないってありましたから、実際はもっと下なのかなー。
私の中で、高遠さんと葉山さんのコンビってどうしてもネウロの笹塚さんと石垣さんとかぶるんですよ。
高い能力を持っているもののそう見えないやる気なさげな先輩と、警察官らしからぬ後輩。
石垣さんも最終巻間近を迎え、成長が見えるまで「警察じゃなくて科捜研に入ればよかったのに」と思っていたので、葉山さんの夢には妙に納得してしまいました。
今回の話、というかサファイアに秘められた過去は悲しいものでした。
人と妖怪の老いる速度の違いというのは、妖怪と人が交流していくこの手の話では必ずといっていいほどあげられるものではあるのですが、それでも悲しい。
そのあたりは仲良くなればなるほど辛いのだろうな。
結局最初から最後まで秋の手の平の上な訳でしたが、それでも座木が秋に挑むという珍しい話が読めたので良かったです。
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