緑陰の雨 灼けた月 薬屋探偵妖綺談/高里椎奈
「灰色の木を金色に戻す薬を下さい」不思議な合言葉を告げるとトラブル相談所に早変わりする深山木薬店を女子高生エリカが訪れる。寝ている布団が突然泥だらけになる、ぬいぐるみがカッターナイフで襲ってくる、自宅で続く怪奇現象に悩む彼女に、秋は四日で解決すると請け負うが? 大人気シリーズ第5弾。
かなり久しぶりな気がする薬屋探偵シリーズです。
前巻を紹介したのって、去年の6月!? うわー1年以上も紹介してなかったんですね。
今回は、刑事さんたちは登場しません。
ざっと登場人物紹介を見てから本編を読み始めたので出ないことはわかっていたのですが。
かわりにお兄さんが出ていてちょっとびっくりしてしまいました。
そういうつながり方をするとは思いもしてませんでした。
今回の依頼人は、車谷エリカ。
そうシャドウの片割れです。前述のとおり、前巻を読んだのがだいぶ前だったこともあり、ある程度読み進めるまでエリカ=シャドウと思い出せませんでした。
彼女の身に降りかかる怪奇現象をどうにかしてほしいという依頼を受け、秋たちは今回別行動を取ります。
秋と座木は調査を。
リベザルと柚之助はエリカの護衛として福島へ旅行へ出かけます。
柚之助は、依頼の数日前から深山木薬店に居候していた妖怪。
野狐である柚之助は見た目的にはリベザルとほぼ変わらない年齢なので、一緒になって妖怪らしく(?)いたずらして遊んでる姿はすごく楽しそうでした。
調査を進める課程で秋たちは2人の女子高生と知り合います。
栗東(りと)ちゃんと美浦ちゃん。
彼女たちに校内を案内される途中で美浦ちゃんがいなくなってしまいいったいどうなってしまうのかとハラハラしながら読んでいました。
依頼とは関係ないところで起こった事件。
それはすごく痛ましいな、と思いました。
なんていったらいいのかな。一見何の変哲もない人が隠す狂気とでもいえばいいのか。ちょっと怖かったです。
さて本筋に戻って。
エリカちゃんの身に起きていた怪奇現象の犯人は柚之助でした。
柚之助が慕っていた人間をまつった石碑を足蹴にされ怒っていたんですね。
まあ、その石碑は石碑と認識されていなかったのでエリカちゃんはそんなこと知りもしなかったんですが、知らなかったら何しても許されるって訳じゃありませんからね。
彼女の謝罪を受け、事件は終わりを迎えます。
そうして柚之助はリベザルの前から姿を消してしまうんです。
リベザルって「せっかく仲良くなれたのに……」ってことが多い印象があったので、今回もまたなのかとちょっと悲しくなったんです。
が、まだまだ未熟な柚之助はリベザルが振り回した手にあたって姿を表してしまいます。
ちょっと間が抜けてるけど、そうして笑いあえたのならすごくいいことだと思いました。
エリカちゃんは確かに気の強い女の子です。
手足がでるのは早いし、頭の回転もはやい。1を言えば10反論するタイプの子。
彼女をよく知らなければ確かにひどい子だと思われてしまうのでしょう。
でも、ちゃんと向き合ってみればぜんぜんひどい子じゃないんですよね。
むしろいい子かも。
彼女が素直に相棒である円くんに好意を告げられる日は来るのかな、とちょっと本編関係ないところで楽しくなってしまいました。
途中、座木が「秋は好意に鈍感だ。冷たすぎる」と窘めるシーンがあるのですが、最後の最後で栗東ちゃんと美浦ちゃんが座木に声をかけた理由が明かされるんです。
それを読むと座木も人のこといえないなぁ、と皮肉っぽく思ってしまいました。
座木は美浦ちゃんの番号を携帯のメモリーから消しています。
もう関わることはないとの意思表示なんでしょうけど、ふつうに考えて美浦ちゃんからのアプローチは可能でしょう?
今後が描かれる可能性はなさそうですが、ちょっと気になりました。
気になるといえば円くんの後輩で図書委員の亜鳥くん。彼、気になるなー。いじりがいがあってかわいい(笑)
この作品って思ってもいなかったところが所々つながっているので、いつの日かまた登場することもあるのかな?とワクワクしてしまいました。
次巻は今回ほど時間をあけずに読めたらいいな。せめて半年くらいで。
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