非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパーク8/石田衣良
派遣会社からの日雇い仕事で食いつなぐフリーターのサトシ。悪徳人材派遣会社に立ち向かう決意をした彼らユニオンメンバーが次々襲撃される。「今のぼくの生活は、ぼくの責任」と言い切る彼をマコトもGボーイズも放っておけず、格差社会に巣食う悪と闘うことに。表題作他3編収録。大好評IWGPシリーズ第8弾! 解説・新津保建秀
かなり久しぶりのIWGPシリーズです。
前巻の紹介をしたのが去年2月ですから、じつに1年半以上もあいてしまいました。
【千川フォールアウト・マザー】
風俗スカウトに目をつけられたシングルマザーの話。
シングルマザーの現状がよくわかる話。
読みながらちょっと反省しなきゃダメだなと思いました。
子どもが犠牲になる事件が起こって報道されると、作中の人物たち同様、普通に「親が悪い」って感想を覚えてしまっているんです。
でも、ニュースで放送されるようなことだけで全てをわかった気になっちゃダメなんですよね。
【池袋クリンナップス】
ボランティアのゴミ拾いに精を出す青年と天空の城の王の話。
青年・カズフミが誘拐され、交渉人にマコトが選ばれるんです。
マコト同様、あのやりとりはあからさまに怪しすぎて真犯人がわかりやすかったです。
彼の理想を現実にするのは非常に難しいことなんでしょうが、きっとカズフミは諦めずに行動しつづけるんだろうな。
【定年ブルドッグ】
M女と元警察官の話。
元カレにプレイ中の写メをばらまくと脅されたハルナ。
その元カレにお灸をすえてやる話なわけです。
タイトルになってるブルドッグはハルナの父の部下で小さな頃から知っているであろう元警察官・大垣さん。
素直になれないだけで親子はきちんと愛し愛されていたんですね。
【非正規レジスタンス】
ネットカフェ難民が派遣会社に噛み付く話。
他の作品はどうかわかりませんが、これは実際にあった事件を元に描かれている作品ですね。
かなり問題になった事件なので、皆さんも記憶に残っているんじゃないかな?
頑張って、体を壊すほど働いてもネットカフェから這い出ることもできない。
すごく辛いですよね。
物語ですから、彼らはどうにかこうにかネットカフェから這い出てハッピーエンドとなりました。
最近はネットカフェ難民という言葉を聞くこともなくなりましたが、今現在の実情がどうなっているのだろう、と気になってしまいました。
今回は、「親子」の話ばっかりですね。
しかも、子が親の行いを咎め修正するために独自に動くという話が、4話中2話もあるってのはどうなのでしょう。
雑誌で読んだりする分には気にならないでしょうが、こうやって1冊にまとめられてしまうとちょっと目立ちますね。
次巻は今回ほどあけずに紹介したいです。
さすがに今回は間あけすぎましたね。
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