
怪談飯屋古狸/輪渡颯介
幽霊話をすれば無代(ただ)になる怪しい飯屋
\怖くて、可笑しくて、美味しい!?/
『古道具屋 皆塵堂』の著者、待望の新シリーズ!
奉公先を追い出され、日傭取りの仕事で糊口をしのぐ虎太は、看板娘のお悌に惹かれ飯屋「古狸」へ。そこは怪談を聞かせると無代(ただ)になるという不思議な店。
怖い話は苦手なのに、お悌と無代飯に釣られて古狸に入り浸る虎太は、死神が棲むという家に行く羽目に。
「不運な男」虎太はそこで何を見た? そして古狸の謎とは?
図書館本です。
久しぶりに輪渡さんの本を読んだ気がします。
【死神の棲む家】
【神隠しの長屋】
【見知らぬ家】
【見る人、見ない人】
【虎太への贈り物】
が収録されています。
いつものとおり?連作短編なので順に読むのをオススメします。
今回の主人公は虎太。
短気ゆえにトラブルを起こし、奉公先を飛び出して日雇い仕事で日銭を稼ぐ生活をしていました。
そんなその日暮らしの最中、たまたま見つけた飯処『古狸』のお悌ちゃんに一目ぼれしたのがはじまり。
お金がないけど、店に通いたい。お悌ちゃんとお近づきになりたい……ということで、この店の特殊なシステムを利用していくことになるのです。
それが帯にもある「幽霊話をすること」。
そして「幽霊話の現場に行って、確かめること」で飯代がタダになるという制度を利用していくのです。
虎太が妙に引きがいいというか、運が悪いというか。
ただ単に見える人だということなのか……。
きちんと死者の姿を見て、思いを汲むことになるのです。
『古狸』のこの制度はもちろんただの趣味や道楽ではなく、きちんとした理由があるのです。
それはいなくなってしまった父親を探すため。
父親が怪談話が好きで、その怪談のあったところへ聖地巡礼でもありませんが、実際に足をはこんでいたんだとか。
父親の情報収集をかねての怪談話だった、ということだったんですね。
虎太の想いがお悌ちゃんに通じる日はまだまだ遠そうですが、少しぐらいは報われる日がくるのですが。
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