レンタルマギカ 未来の魔法使い/三田誠
壮絶な結果をもたらした大魔術決闘(グラン・フェーデ)から二年。いくらかの変容を余儀なくされた魔術会は、ようやく落ち着きを取り戻しつつあった。<アストラル>もまた、新たな魔法使いを仲間に迎え、忙しく日々を過ごしていた。そこに舞い込んだ呪波汚染洗浄の依頼。ごく小さな、難易度の低い依頼のはずが、予想外の波紋を呼び――!? 世界各地に散らばる登場人物たちのエピソードを交えて描かれる、ファン必携の後日譚にして、シリーズ完結巻!
ようやく読めました。
レンタルマギカ完結巻です。これで本当に終わりとはちょっと寂しいですね。
あらすじにもあるとおり、前作・
最後の魔法使いから2年後の話です。
物語はカバラ魔術の使い手にしてアストラルの新入社員、セリム・レフティの視点で進みます。
ほとんどいつきやアディリシアあたりは出てきません。
メインはセリム、ラピス、みかん、そして<螺旋なる蛇(オピオン)>の秘蔵っ子・アイラです。
まだ年若い彼らは未来の、次世代の魔法使いってことなんでしょう。
あと石動圭の出番が多いんですが、この人はまた別枠というか、持たざるもの代表ってことなのかなーと思ってます。
本当に「未来の魔法使い」のタイトルに相応しい話だったと思います。
あ、アイラは<螺旋なる蛇>の秘蔵っ子にして後継者。
<螺旋なる蛇>みんなの弟子で大魔術決闘の最後、惑星魔術が完成した数瞬に妖精眼(グラムサイト)を与えられた少女です。
伊庭司や影崎さん、ユーダイクスや猫屋敷さんなど大人組はちらりと登場した程度ですね。
しかし、その後の様子がわかるのでなかなか楽しい。
隻蓮さんとダフネさんは2年たってこれならちゃんとくっつくのはいったい何年かかるのか、って感じです(笑)
本編は思っていたよりシリアスでちょっとびっくりしました。
未来の魔法使いが発売されると知ったとき、「きっと短編集か何かなんだろうな」と思っていたのですが、がっつり長編でした。
ただ、これ1冊で完結しているので、大魔術決闘から見るとどうしてもこじんまりとしている印象がありますが仕方ないですね。
おもしろかったです。
セリムとアイラ。どちらも妖精眼の、<アストラル>と<螺旋なる蛇>の後継者である年若い子どもたち。
2人とも根底にあるのは「魔法ってすごい」っていう単純な感情。
立場の違いゆえの対立といったところでしょうか。
この2人がこれから生きていくのは大変なことでしょう。
アイラは<螺旋なる蛇>に属しているというだけでも大変でしょうし、セリムの妖精眼にはあの紅い種が宿っているわけですから。
でも、周りの人の協力を得てどうにかしていくんでしょうね。
最後のタブラ・ラサといつきの会話に全てが詰まっているような気がします。
いつきのエゴで大魔術決闘で<螺旋なる蛇>の打ち破ったわけですが、だからといって彼らの感情がそんな簡単に消えてなくなるわけじゃない。
だからゆっくりと時間をかけて。それこそ何百年単位で変わっていく、と。
なんかいいなぁ。
というか、フィンですよ!
あの人あんなあっさり登場していいんですか。
これって2年ぶりの再会ってことらしいんですけど、こんな穏やかでいいのか……。
個人的にいつきがセリムとアイラを「僕と君(フィン)の――後継者でもある」と言ったときになんか妄想が爆発しそうになりました(笑)
私の脳内ではそこから「僕たちの子どもだね」と答えるフィンがいました。
本編ではそんなことないですけどね。
でも、アディリシアと穂波が「フィンと近づきすぎるのを禁止」しているから、そういう何かがあったんだろうな、と。
少なくともキスくらいはしてるんじゃないかな。
じゃなきゃ、禁止されませんよね!
フィンいつが少ないのにガッツリ盛ってあるのはそれはそれで楽しかったんですが、私オルいつ好きなので、ほとんど接触なかったのが寂しかったです。
もうちょっと何かあって欲しかった、ってのが正直な所です。まあ若干デレてましたけど、穂波相手だったからなぁ。
これで終わりかと思うと本当に寂しいです。
私が高校生のころから読んでいた作品がこれで終わってしまったのですね。
最後の最後でいつきとアディリシアとすれ違った2人は、クロスレガリアの登場人物なのかな?
まだ私クロスレガリア読んでいないのですが、今から楽しみです。
三田先生本当にお疲れ様でした!
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