俺の悪魔は色々たりない! 紅の悪魔と瑠璃の魂/時田とおる
「この街の住民、一万人の命を賭けて、宝探しをしないかい?」
黒の葬儀屋・ネウマの宣言と共に爆発音が響き、問答無用のデス・ゲームの幕が上がった!! 4つの宝箱の中にはサブナクの【身体】が収められ、誰よりも先に手に入れるためには、親友のレントを裏切り、神父アインザッツ達と敵対せねばならず!? 「……やってやる。絶対に」譲れないプライドと野望を賭け、火花が散る!! 少年祓魔師(エクソシスト)とオレサマ悪魔が贈る感動の最終巻!!
先日購入してきた1冊をようやく読めました。
タイトルだけ見て買ってきたので家帰ってからあらすじを読んで、最終巻だと知りました。
今回の舞台はアスセナ。物語が一気に動きます。
なんだかんだあって空白だった司教の座に、パルティータの兄であるフーガがついたってことくらいでキャラたちの関係に変わりはありません。
そんな普通の日に爆弾を投げ込んだのはネウマでした。
ネウマが持ちかけた最悪のゲーム。
爆弾をしかけ、サブナクの身体を街の随所に隠すことで魔物を呼び寄せたネウマの思惑に乗らざるを得なくなってしまったんですね。
魔物の撃退と爆弾の撤去はともかく、サブナクの身体についてはイトとその他協会の面々では考え方が違います。
そりゃそうですよね。
サブナクの身体が揃い完全復活してしまうということは、大事な仲間であり、友であるイトの死と同義な訳です。
イトを死なせたくないパルティータたちは、サブナクの身体を奪い処分してしまうことでサブナクの完全復活を阻止しようとしているんですね。
でも、イトはアインザッツやパルティータ、レントたちと敵対してまで、自分の意思を貫きます。
その最中でイトは何度も情に訴えられます。
アインザッツとプロケルは直接的に、フーガは搦め手というかちょっとゲスい手を使って。
途中でイトはレントに自分から契約について告げているんですが、そのときのレントに対するデレは異常でした(笑)
レントって結構扱いがぞんざいだったので余計そう感じたんでしょうね。途中のあれには思わず叫んでしまいそうになりました。
叫ばなかったのは、
似たような展開でもっと衝撃的なものを読んだことがあったからでしょうね。
正直、途中までネウマの目的がわかりませんでした。
ネウマが瑠璃の一族であろうことは分かっていましたが、まさかそういう存在だとは、って感じ。
心臓が別に隠されていることは可能性として考えてはいましたけど。
意思ある存在の中に隠しておいた方が安全ってのもわかるなぁ。
しかも瑠璃の一族というのは同族以外には空けることの出来ないある種強固な檻になるわけですし。良く考えたもんです。
ネウマにとって、イトの存在ってそうとう大きなものだったんだろうなぁと、読んでいて漠然と思いました。
5000年生きてきた自分を殺せる唯一の存在。これを逃せばサブナクが復活することも、ネウマ自身が死ねることもなくなるわけで。
だからこそ、ああやって意地こそ悪いものの見守っていたのかなー、と。
というか、サブナクにとってもイトは大事な存在に変わっていたんですね。
まあ今までのやりとりでもその片鱗はありましたが、今回はそれが顕著だったかな、と。
イトが死んだあとのネウマとのやりとりが凄かった。
「復活なんざ、もうどうでもいい。あいつがいなけりゃ意味はねえ」
「結局俺は、あいつの命懸けの願いも叶えてやれなかった」
「俺の唯一を、お前は奪った」云々。
怒涛ですね。
でもこのセリフを読む限り、サブナクは復活したあともイトを側に置くつもりだったんでしょうね。そうじゃなきゃこのセリフにはならないんじゃないかと。
ネウマの小細工により、イトの右目はイトの死後まで奪えないようになりました。
そのため、サブナクの完全復活は持ち越し。でも、身体をほとんど取り戻したサブナクの力は強大で。
サブナクとイトは、年月こそかかったものの、魔物たちを完全に倒すことが出来たのだとか。
協会に仇なす反逆者として指名手配されてたりはしたようですが、そんな簡単に捕まるようなやつらじゃないですしね。
ネウマですらどういう仕組みなのか知りませんが、人形に魂を宿して生きているようだし。
大団円ですね。
個人的には、その後の2人の話も読んでみたかったんですが、仕方ないですね。
ビーンズのホームページに掲載されていたSSも結構な数あったと思うんですけど、それももう読めないかな?
久しぶりに初見のシリーズを買いましたが、思っていたより楽しめました。
時田さんの次回作も買いたいと思います。
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