よろず一夜のミステリー 土の秘法/篠原美季
夢中になるあまり、現実との区別がつかなくなった若者による事件が相次ぐ人気オンラインゲーム『ジオの聖戦』。そこでは攻撃に敗れた「ゾンビ」が復活するために「女神」を手に入れなければならない。そんななか、都市伝説サイト「よろいち」編集部のアイドルである希美が誘拐されてしまう。彼女こそゾンビを甦らせる女神と信じた者の犯行か――恵は、希美を無事に救出できるのか!
よろいちシリーズもこれで3冊目ですか。
後でカテゴリ作りますね。
今回のテーマはあらすじにもある通り、「ゾンビ」。
1巻発売時点では、3巻は「西行の秘法」の予定だったんですが、途中でタイトルが変更されています。
オンラインゲームや、ネット依存症なんかを絡めて物語は進んでいきます。
正直、西行についてはちらっと触れられている程度だったんですが、「元々タイトルだった」という印象が強くて。
作者は意図していないであろうミスディレクションに引っかかってしまいました。
それがなければ、もうちょっと早く真相というかゾンビ化の手段?に気づけたんじゃないかなぁ、とちょっと悔しかったです。
だって、ゾンビだなんだと言ってますが、普通に考えて仮死状態になっていたと考えるのが妥当です。
で、この手の話で仮死状態=テトロドトキシン(ふぐ毒)っていうのは定石だし。
まあ、薬品名が出る前に気づけたからまあいいかな。
このシリーズって元々オカルトっぽいテーマを科学的考証で解決していく話なんです。
全然違う方向から別々の出来事を追っているんだけど、最終的に全てが1つに収束するのもお約束ですね。
作中で提示される情報が全て正しいのかは別として、科学でたいてい解決してしまうので、オカルト目当てだとちょっと違うと思うかもしれません。
今回は正にそれ。途中途中でオカルトっぽいワードは出ているものの全て化学的に解明されています。
前回みたいな「もしかして?」ってのもありません。
万聖さんの説明するネット依存症についての話は思わず真剣に読んでしまいました。
凶悪事件が起きるとゲームが悪い漫画が悪い云々って話がよくあがりますが、私それ見るとイラッとしてしまうんですよ。
似たようなことが語られているわけですが、このように理由まで語られていると思わず「なるほどなぁ」と納得してしまいます。
恵と稔の父の情報も少しですが、出ています。
それによると「兄弟の父は医療機器メーカーから幽霊について研究する機関に転職した」んだとか。
なんとなく、幽霊=意識体?と思ったんですが、本当に思いつきなのでそう簡単なものじゃないんだろうなぁ。
次巻についての情報は不明。
タイトルにはきっと「火」がつくんだと思います。作者があえて秘密にしているんですが、まあ普通に考えて五行ですよね。で、5巻は「木」でしょう。
6巻以降までシリーズが続くのかは不明ですが、もし続いたとしたら作者はどういうタイトルをつけるのか気になりました(笑)
次巻を楽しみにしています。
[0回]
COMMENT