僕の棺で晩餐を/草川為
――飢えているのは血だけじゃないんだね。
街の爪弾き者・ロヴィサ、死を待つ牙折れの白い吸血鬼・アシュリー。
巡り会った2人は、静かに孤独に溶かし合うが…。
餌としての至福、太陽を捨てる決意…
人と吸血鬼、幾つもの夜を越えて生きていく。
連作読切集!!
昨日買ってきたの、早速読みました。
まずはこちらから。明日は八潮と三雲かな?
【僕の棺で晩餐を】
【黄昏恋々】
【星は暁のかげ】
【しのびごと】
の4編が収録されています。
うち、
【しのびごと】以外の3作はあらすじにあるとおり『連作短編』になってます。
が、正直単品で読んでもなんら問題はないです。
というか、草川さんって短編集の発売って実ははじめてだったんですね。
ガードルードの5巻もある意味短編集ですが、あれは意味がちょっと違うからなぁ。
道理で初期以外の読みきりを読んだ記憶がないわけです。
連作3作は吸血鬼と人間をテーマにした話です。 時系列順だと
【星】、
【僕】、
【黄昏】。ちょっとエロいなと思って読んでました。
【星】のヒロインであるアウレリアが、
【僕】のアシュリーと
【黄昏】の桐子を吸血鬼にしたってことらしいです。
これ
【星】の収録は最後じゃないとダメですね。
【僕】だとアウレリアの登場はシルエットのみなのであまり気にならないんですが、
【黄昏】に登場するアウレリアは本当に魔物というか、敵っぽいんですよ。
だからあまりいい印象を持たないまま終わってしまうんですが、最後に
【僕】を読むことで印象が変わるんですよね。
【黄昏】でいかにもな現代女子高生が登場して、ちょっと驚いてしまいました。
「草川さんが女子高生!?」ってテンションあがったんですが、良く考えたらガードルードのサハラも女子高生。忘れてました。
【僕】で登場した『牙折れ』という設定がおもしろいな、と。
白い吸血鬼ってちょっと不思議な印象を受けたんですが、説明を読むとなるほど、と。
こういう設定は好きだな。
【しのびごと】だけ単品。
こちらも女子高生・千弥ちゃんが登場してますがこちらはあんまり現代女子高生って感じはしませんでした。おとなしめの子だからかな?
ストーリーとしては前世もので心中もの。
前世で“ちや”と葛は心中するものの失敗して葛だけ死んでしまい、生まれ変わった千弥の元に葛が現れて……って話です。
途中、ヤンデレというか無理矢理連れていかれそうになっていて普通に怖かったです。
どれもハッピーエンドにはなっていないからなのか、全体的にこの1冊は全部暗く思い印象を受けました。
【僕】はロヴィサを救ってアシュリーは死んでしまうし、
【黄昏】は桐子は夜の世界を生きていくことを決め、
【星】はミハイを守るためにアウレリアは自身の身を投げ出す、と。
【しのびごと】は、千弥の笑顔を餞に葛は一人溶けていってしまった訳ですし。
全部雰囲気にまかせて終わってる感があるので、読み取れてない部分がありそうだなぁとこの文章書いてて思いました。
草川さんの作品ってどちらかというと明るい話が多いイメージがあったので(まあ、花わずらいやガードルードの途中は暗かったですけど)ちょっと驚いてしまいました。
たまに読む分にはこういう暗い話もいいかな。
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