海のある奈良に死す/有栖川有栖
半年がかりで書き上げた長編が、やっと見本になった! 推理作家・有栖川有栖は、この一瞬を味わうために神田神保町の珀友社にやってきた。会議室に通され見本を心待ちにしていると、同業者の赤星学が大きなバックを肩に現れた。久しぶりの再会で雑談に花を咲かせた後、赤星は会議室を後にした。「行ってくる。『海のある奈良』へ」と言い残して……。
翌日、福井の古都・小浜で赤星が死体で発見された。赤星と最後に話した関係者として、有栖は友人・火村英生と共に調査を開始するが――!?
複雑に絡まった糸を、大胆にロジカルに解きほぐす本格推理。
いつものごとく作者は有栖川さん、登場人物はアリスで統一します。
アリスの同業者で同期の作家赤星楽の死の謎と彼が書こうとしていた「人魚の牙」の概要を探す話です。
作者もあとがきで触れてましたが移動の多い話です。
えっと、作家アリスシリーズの3つ目の長編なんですが、いつまでアリスの関係者を巻き込んでいくのかなぁ、とかちょっと思ってしまいました。
関係者を事件に巻き込むことにより、アリスが捜査に加わりやすくなるってのはわかるんです。
でも、もうそろそろ長編でも火村先生から持ち込まれる形ってものがあってもいいんじゃないのかな?とも思いました。
「海のある奈良」=小浜=人魚(八尾比丘尼伝説)って正直知りませんでした。
まあ八尾比丘尼の伝説の概要くらいなら知ってましたけどあそこまでバリエーションがあるとは思いませんでした。
で、ここでいう小浜ってあのオバマ大統領の応援してた町なんじゃないでしょうか。多分ですけど。
作中で出てきたときはまったく気づかなかったんですがあとがきで気づきました。
だからどうしたな話なんですけどもう少し早く気づきたかったなぁ。
作中のトリックはびっくりしました。
まさかそんなとこに行くとは誰も思いもしないですもんね。
2件目の事件については……突っ込むのも無粋なんでしょうけどサブリミナル効果にそこまで効果があるものなのかちょっと疑問でした。
多く入れることによってより確立を高めようとした、ってことなんでしょうけど。
そして駄目なら駄目でよかったんでしょうね。
犯人の告白を読む限り、そういう性格っぽいですし。
これからもチャンスはいくらでもあったでしょうから。
あと思ったのはは有栖川さんは女性を綺麗に書きすぎだと思います。
ダリの繭の秘書さんといい、今回の女社長といいなんか納得いきません。
もうすこし、汚い部分があると思うんですけど。
そう見ると朝井さんみたいな人の方が人間らしくて好きです。
そして今回も仄めかされただけで終っている、火村先生の過去とか悪夢の正体とかいつの日か語られることを願います。
火村先生が語り部になることはそう多くないだろうからアリスが聞くって形になるとは思うんです。
けどどういう状況で語らせるか……ものすごく難しいんだろうなぁ。
多分語るとしたらアリスの部屋で二人きりで飲みながらなんだろうなぁ、とか思ってます。
明日は何を読もうかまだ未定です。
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