烏は主を選ばない/阿部智里
八咫烏が支配する山内では次の統治者金烏となる日嗣の御子の座をめぐり、東西南北の四家の大貴族と后候補の姫たちをも巻き込んだ権力争いが繰り広げられていた。
賢い兄宮を差し置いて世継ぎの座に就いたうつけの若宮に、強引に朝廷に引っ張り込まれたぼんくら少年雪哉は陰謀、暗殺者のうごめく朝廷を果たして生き延びられるのか……?
松本清張賞受賞者が放つ華麗なるファンタジー絵巻
うつけの若宮と少年が挑む朝廷権力争い
暗殺者は誰? 陰の味方は誰?
人の姿で暮らしながら、鳥形に転じることもできる<八咫烏>の世界。朝廷では、后候補の姫を擁する四家の有力貴族を巻き込みながら、支配者である宗家の跡目をめぐる陰謀が水面下で渦巻いていた。
兄を追い落として世継ぎの位についた弟・若宮は評判のうつけ者。暗殺者まで現れても「自分には味方がいる」と余裕の構えで……!? 突然宮中に放り込まれたぼんくら少年は、若宮と共に ピンチを乗り切れるのか!
図書館で借りてきました。
はじめて見る作家さんだなーと思って借りたんですが、デビュー2作目らしいです。道理で。
てか1991年生ってことは21、2?若いなー。
帯にもあらすじにもなかったので読むまで気づけなかったんですが、これデビュー作「
烏に単は似合わない」の続きというか別視点らしいです。
単の方は姫君たちの話であり、主の方は若君主従の話です。
今度図書館行ったら姫君の方探してみます。多分両方読んでも結構な謎が残りそうな感じなんですが、その辺は続編で語られるってことになるようです。
ただ、ブクログの感想を読むと、前作より今作の方が数段おもしろいよう。先にこっちを読んでしまったのは失敗だったかなぁ。
結構読みやすかったです。
340ページ超と比較的厚い本だったんですが、3時間かからず読めました。
あらすじにもあるとおり、和風ファンタジーです。
田舎貴族の次男坊・雪哉が若宮の側仕えとして宮中にあがり、翻弄される話。
八咫烏云々は正直、途中で忘れそうになってしまいました。
宮中の権力争いがメインなので、時々八咫烏に変身したときにそういやそんな設定だったな、となってしまいました(笑)
はじめ想像していたより数段おもしろかったです。久しぶりにあたりだったかも。
この手の貴族の話って、呼び名が役職だったり字だったり普通に名前だったりと1人で複数持ってることが珍しくない上、登場人物のほとんどが親戚で似たような名前だったりするので、読んでいて訳わかんなくなるんですが、この作品はそういう心配は不要でした。
雪哉が関わる人物がかなり少ないってのが一番の要因ですね。
誰が敵で誰が味方なのかわからない状況というのにすごくハラハラドキドキさせられました。
生家での立ち位置が「ぼんくら」雪哉が頭のいい少年だということは序盤で語られているんですが、正直雪哉の行動なんかを見ているととてもそうは見えないんですよ。
だから、わざと「ぼんくら」というか能のないフリをしているんだろうな、とはわかっていました。
さすがに、最後のオチまでは想像してませんでしたが。
この1冊では若宮は4人の姫君の中から誰を選んだのかわからないんですね。
その辺は、1作目で語られているんでしょうね。こうぼかされると読みたくなってしまいますから上手いなぁ。
ラスト、当初の約束どおり1年で雪哉は故郷に戻ることになったようです。
雪哉は若君の味方となり、共にあることを拒否しました。
正確には、若君が雪哉の出した条件を呑むことが出来なかったわけですが、そりゃそうだ、って感じです。
きっと雪哉はぼんくらのフリをしつつ、家族が危機に陥ったのならその才を余すことなく使い上手く立ち回っていくのでしょう。
そして、朝廷の権力争いとは関わることなく生きて死んでいくんだろうな、と思います。
うーん、それにしても結局「真の金烏」とは一体何だったんでしょう。
どうやら3冊目があるようですから、そこでその後の出来事が語られれば自然とわかるのかな?
とりあえず3冊目が出る前に1冊目が読めたらいいな。とりあえず図書館で探してみます。
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