花咲小路四丁目の聖人/小路幸也
ご隠居は元・泥棒紳士!?
ダンディなご隠居が、手腕を活かして商店街の事件を解決。
じんわり心温まるエンターテインメント。
その昔、イギリス中の美術品や金品を上流階級から盗み、現場には"saint"と刺繍された手袋を片方残すのみで決して捕まらなかった世紀の大泥棒。
そんな「泥棒紳士」が実は日本に帰化して、ここ花咲小路商店街に隠居中なのです――
図書館で借りてきました。
先日、
文庫版を書店で見かけていて買うか買うまいか悩んでいた本だったんで、借りれて良かったです。
タイトルからもわかるとおり、物語は花咲小路商店街が舞台です。
郊外に進出する大型店、店主たちの高齢化などなど、よくある寂れかけた商店街。
元々商店街の多くの土地を持っていたという地主の娘・亜弥の視点で物語は進んでいきます。
亜弥は何になるのかな、母親が日英ハーフで、父親が英国人とのことなのでクォーターでいいのかな?
亜弥の父親は何十年も前に帰化して商店街に馴染んだイギリス人の老紳士・聖人。
この聖人が、過去イギリスを騒がせた「泥棒紳士」であった、と。
聖人を中心に、亜弥の幼なじみにして弟みたいな克己くんと北斗くんが一緒になって、商店街に迫る陰謀をどうにかしようとする話です。
面白かったです。
出版がポプラ社ということもあるからか、語り口はかなりライトです。
300ページ超の作品なんですが、2時間ちょっとで読み終わりました。
なんというか、亜弥は泥棒紳士の活動をほとんどわかっていないので、いったいどうなるのだろう?と思いながら読み進めることが出来ました。
泥棒紳士というだけあってセイントは義賊的な存在なんですが、「それでも泥棒はダメ」といい続ける亜弥の存在はやっぱり必要なんでしょうね。
「亜弥さん!亜弥さん!」とわかりやすく亜弥に思いを寄せる克己くん。
4歳差という年齢と幼いころから知っていて、面倒を見てあげていたという状況からどうしても「弟」としてしか見ることができていなかったんですね。
それが最終的にはグラリとくるところまで行くわけですから、まさに克己くんの粘り勝ちです(笑)
ラストのイギリスでのやりとりには思わずくすりとしてしまいました。
本当の最後に幸せな様子が描かれていると読後感がめちゃくちゃいいですね。
久しぶりにこれだけ読後感がいい作品を読んだ気がするなぁ。
やっぱり、私この方の作品が好きです。
この作品、シリーズ化されたようですね。
花咲小路一丁目の刑事なる続編が発売されています。
こちらも読んでみたいんですが、まだ発売されたばかりなんでたとえ図書館で購入したとしても本棚に並ぶのはまだ先のことになりそうです。
最悪、文庫化されたら買おうかと思います。
この感じだと絶対おもしろいでしょうから。
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