ぼく、カギをのんじゃった! もうジョーイったら!1/ジャック・ギャントス(訳/前沢明枝)
ジョーイは小学四年生の男の子。いつも考えるより先に行動してしまい、騒ぎをおこしてばかり。悪気はないのに、どうしてもじっとしていることができず、まわりから「問題児」だと思われている。幼いときに別れたきりだったお母さんがもどってきて、新しい生活がはじまったのもつかのま、教室で事故をおこして、クラスの女の子にケガをさせてしまい、しばらくの間、<特別支援センター>にかようことになった。もう、もとの学校にはもどれないかもしれない、と落ち込むジョーイ。ところが、支援センターはジョーイが想像していたようなこわい場所ではなかった。自分に合った治療やカウンセリングを受けたジョーイは、考え方や行動を少しずつ自分でコントロールできるようになり…。
個性豊かな少年の内面を、ユーモアあふれる筆致でこまやかにすくいとった、一気に惹きこまれる物語。「問題を抱えた友だちのことを知る手がかりになる本」として、アメリカのほとんどの学校図書館に備えられている。
■全米図書賞最終候補作 ■全米図書館協会優良図書選定 ■スクール・ライブラリー・ジャーナル誌年間優良図書選定
図書館で借りてきました。
10年ほど前に発売された本なので、そのころから置いてあったようですが全く知りませんでした。
アメリカの小学校に通う少年・ジョーイが主人公。
ジョーイは"カゲキ"な一面を持ついい子です。
作中では名言こそされていませんが、ジョーイはADHD、あるいはよく似た障害を抱えているように見えます。
薬が効いているうちはいい子でいられるけれど、薬が切れてしまったり、効きが悪いとどうも"カゲキ"になってしまい自分で自分を制御できなくなってしまうのです。
正直、読んでいて辛かったです。
ジョーイは確かにいい子なのです。自分がいけないことがわかっているし、"カゲキ"になっていても彼の中ではきちんと筋道が通っていての行動なのです。
そして自分を一度捨てて戻ってきたお母さんのことも大好きです。
お母さんが戻ってくるまで一緒にいたおばあちゃんにひどい目にあわされても(正直虐待と判断されても仕方ないレベル)おばあちゃんに対する恨み節はありません。
それでも、ジョーイは"カゲキ"になって様々なトラブルを起こしてしまうのです。
そのトラブルの数々を見ているのがつらいのです。
失敗するのが目に見えているので、もうやめてあげてといいたくなるのです。
あらすじにある事故が描かれるのは作品の半ばほど。
彼が救われる<特別支援センター>が登場するのはそのあとなのです。
ようやくセンターに通うになり、ジョーイの様子は劇的に変わっていきます。
私には薬のことはわかりません。
けれど、ジョーイにあった薬が見つかり、彼が少しでも楽に暮らせるようになるのなら良かったのではないかな、と。
お母さんがジョーイに授けたプレゼント――考え方がステキ。
「(略)『何か、悪いことをかんがえてしまったときは、すぐにいいことを考えること。それから、悪いことは、ぜったいに続けて三つ以上かんがえないこと』そんなことしたら、落ち込んじゃうからね」(p113)
この考え方はジョーイに限らず誰でも役立つものじゃないかなと思うのです。
そんなこんなでジョーイは元いた学校に戻ることが出来ます。
好意的に受け入れられているように描かれていますが、それは大人たち(しかも元々ジョーイを思っていてくれた人)ばかりです。
教室へ向かうさまが描かれていないのでその後はわかりません。
このまますんなり子どもたちの輪の中に受け入れられるんだろうか?とドキドキしてしまいました。
どうやら
2巻も発売されているようなのですが、地元図書館には置いていないようです。
あらすじを読むに、今回は名前しか登場しなかった父親が登場するようなのですが……。
うーん、気になるけど自分で購入するのはちょっととも思うのでこのまま謎のまま終わりそうです。
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