逢魔ヶ刻動物園 5 逢魔ヶ刻動物園/堀越耕平
ヤツドキサーカス団との提携交渉決裂!? さらに、離れ離れの延長と華にサーカスを陰で支配する者の正体が明かされ、動物園VSサーカス団の闘いもついに最終局面(クライマックス)! いくつもの“面白”が溢れる笑顔の最終巻!
ついに最終巻を迎えた逢魔ヶ刻動物園です。この作品もう少し連載続けられたんじゃないかな、とすごく残念に思います。
今回のカバー裏は菊池くんがデジカメで表紙を撮ったという設定なんですね。
むすーとした道乃家さんですが、メイクとってると一瞬誰かわかりません。
今回の感想マジで長いです!ご容赦を。
【第33話 黒いサーカス】【第34話 クマのサーカス団】【第35話 象の本気】【第36話 動物は喋らない】【最終話 逢魔ヶ刻動物園】
サーカス団の真の支配者の判明と、動物園VSサーカス団の続き。
シシドくんが華ちゃんに背負われて登場とかある意味びっくりなシーンですね。シシドくんはそんなに重たくはなさそうですが華ちゃん力持ちだな。
菊池くんは男の子ですが、華ちゃんの代わりにシシドくんを背負うってことはしないんだなぁ。
あ、そっか。菊池くんはこの時絶賛混乱中だからそれどころじゃないか。
でも菊池くんがシシドくん背負おうとしても背負えなくて、華ちゃんがひょいっと背負っちゃってショックを受ける――とかありそうじゃないですか?
閑話休題。
ヤツドキサーカスの真の団長――呪われた人間は道乃家ではなく菊池くんが目撃したというクマ・志久万でした。
華ちゃんの慧眼というか動物に対する知識は本当にすごいですね。動物の習性程度ならともかくまさか骨格まで覚えているとは……。
一瞥しただけでおかしいことに気づけてしまえるのですから。本当にすごい。
志久万は道乃家との利害関係を主張するものの、実体は志久万の呪いをとくために半ば脅迫されて協力させられていたってのが正解みたいです。
だからこそ前巻で華ちゃんが「サーカス団の結成時期と呪われた時期・人気と道乃家の呪いの解け方がおかしい」なんて思っていたわけですね。
もともとあったサーカスを志久万が仲間を盾に乗っ取ったから、道乃家が変わってしまった時期のほうがサーカス団結成よりもあとなんです。
さて、バトル。
まずは、ロデオVSシシドくん。
ビャッコフとの戦いで大怪我をしていたってこともありますが、華ちゃんの叫びは間に合わず、ロデオに瞬殺されてしまいます。
「てーけーだかなんだか知らないが」って台詞を深読みしてテンションあがってました。
だって、シシドくんの興味の矛先って基本「ボスになること」「戦うこと」「強くなること」くらいな訳じゃないですか。
そんなシシドくんがちゃんとサーカスに来た目的を知っていた。しかも提携って言葉を使ったってことは華ちゃんの話をちゃんと聞いていた可能性高いんじゃね!?と。
まあ、ウワバミさんの可能性もあるんですけどね。
そこは想像の世界だから楽しい方に考えていて問題ないかなと(笑)
さて、本編に戻って。
菊池くんの叫びに呼応するように、園長たちが団長テントに乗り込んできます。
そのまま椎名VS志久万、岐佐蔵くん&ウワバミさんVSロデオの戦いが始まります。
ウワバミさんはシシドくん同様ロデオに蹴り飛ばされてしまってすぐに戦闘不能状態に陥ってしまいますけどね。
岐佐蔵くんがロデオを怖がる理由がよくわかります。
ロデオは自身が宣言しているとおり、草食至上主義。ライオンが肉食動物の王ならば、草食動物の王は象と言ってもいいでしょう。
だから象である岐佐蔵くんに対してものすごい腰が低くなるんですが、あれキャラ変わりすぎだろう。怖いよ。
自身の性格(夢中になると周りが見えなくなってしまう)から華ちゃんたちを巻き込むことを恐れ、ろくに抵抗の出来なかった岐佐蔵くんを華ちゃんが叱り飛ばし、ロデオを撃破&華ちゃんたちを無事救出します。
ていうかあれフードだったんですね。ああいうもんなんだと思ってた。
一方、椎名は苦戦気味。
というのも志久万は椎名がよく知らない魔力の使い方を知っていたから。
志久万曰く、魔力で変身させた動物を元に戻すときにちょっと思うだけで、その動物の力を己のものに出来る、と。
ただし、そうした動物は2度と変身させることは叶わない。
それを聞いた椎名はぶちぎれます。
椎名は仲間を大事にしていますから、仲間を使い捨てにする志久万のやり方に怒るのは自然なことですね。
そして、椎名が呪いをうけてからの日々が少しですが、明らかになります。
園長の「おもしろ主義」にはこんな理由があったのですね……。
見開きの「仲間がついてきてくれるから~」は描き直しされてますね。
仲間たちの出会いが描かれてます。
知多くん痩せてる!とか大上くん臆病すぎ!とかいろいろ思うところはあるのですが、ウワバミさんジャンプ掲載時と台詞変わってますね。
前巻に収録されたVSトイトイのときの「乱暴になっちゃうから」「園長に見られたくなかった」って台詞と矛盾してるように感じるのは気のせいかな?
蛇のときの凶暴性は見られていたけど、人型では見られたことがなかったってことなのかな?ちょっと納得いかないんですが、まあいいや。
サーカス団の動物たち全部の魔力を自分に戻した志久万に椎名はやられてしまいます。
それに対抗するために、ウワバミさんと岐佐蔵くんは自らの魔力を自らの意志で椎名に返します。
これもう鳥肌とか涙とかそういうもんがすごい。何回読んでも泣きそうになる。
ジャンプ掲載時には「やばい来週絶対終わる……!」っていう思いもあったんですけどね。
確かに園長の呪いがとける=動物たちを変身させることが出来なくなるだった訳ですけど、こんな最後はいやです。
そして、最終話。
二度と人型に変身出来なくなってしまうと知っても、シシドくんもまた椎名に魔力を返します。
悪態をつきながらってのがシシドくんらしいですね。
そして、道乃家や鈴木さんなど人間たちも一緒に抵抗して、志久万を倒します。
みんなと話せなくなってしまったことに涙する華ちゃんの元に岐佐蔵くんの鼻がのびてきて、後ろを確認すると「あれ?戻れてる?」と。
これはびっくりしたなぁ。
でもこうでもしないとハッピーエンドとはいいづらいですからね。
結局、当初の目的通りサーカスとの提携に成功。
わいわいがやがやと好き勝手やってる奴らもいますが、それでも楽しそうです。
志久万の口から語られている呪い主について。
今まで、椎名、伊佐奈、志久万に呪いをかけた化け物って全部別々だと思っていたのです。
でも最終話で描かれている呪い主の姿を見る限り、様々な化け物の集合体っぽい。
呪い主はその時の状況にあわせて姿を変えていたってことなのかな。
頭部はウサギ、左羽根は多分コウモリ、右羽根は鳥、左腕は類人猿か何かなのか人に近い形、
右腕はクマのようでありながら水掻きが存在し、は虫類か魚類かはっきりしませんが鱗らしきものも見てとれます。
さらに胴体からは虫の足らしきものが生え、尾は鯨と思われる海洋性ほ乳類の尾びれ、そして下半身にいたっては植物なんですよ。
一読目では植物までは気づけなかったんですが、これすごいな。
あちこち加筆修正されているんでジャンプ引っ張りだしてきて確認してましたが、何もここで話膨らませようとしなくてもいいのに……!!と思ってしまいました。
もう読むことが出来ないのに続きが気になるじゃないですか。
華ちゃんがアルバイトとしてやってきてわずか1月ばかり。
その間に動物園は大きく変わり、華ちゃんも成長しました。物語の終わりとしてはとてもよかったと思います。
ジャンプ掲載時に「あれ?」と思った最終話の最後のコマの「おしまい」の上にある門、これきっとわざとなんですね。
作品名が『逢魔ヶ刻動物園』だから印象に残りづらいんですが、ここの動物園の正式名称は『逢
摩ヶ刻動物園』なんですよ。
『逢
魔ヶ刻動物園』って表記は閉園後の魔力が満ちる夜の時間帯だけのはずなんです。
昼間であるはずのラストのコマに使われているのは『逢魔ヶ刻動物園』。これは、『逢魔ヶ刻動物園』という作品が終わるからってことなんだと。
コミックス全巻読みなおしてようやく気づけました。
【番外編 ダーウィンが来るやも!】
イガラシさんから見た華ちゃんの一日。
NEXT!に掲載された番外編です。
ジェントルであるイガラシさんですが、実はむっつりであることが判明します(笑)
まあ、華ちゃんスタイルいいしね。
【第5102話(ごじつわ) 椎名】
全ページ描き下ろしの後日談。
最終回から半月ほどたったころの出来事です。
サーカス団との提携で客足が伸びたってことにまず驚きです。
だって、この動物園の立地条件(駅からバスで2時間)も知名度も悪すぎ(地元民ですら存在を知らない)じゃないですか。
よく客来るようになったなぁ。
未だに華ちゃんのことをブス呼ばわりする道乃家にちょっとイラっと。敵対していたころならまだしも、仲間になってもブス呼ばわりはないだろう、と。
サーカス組による動物園組への調教もとい訓練は遅々として進んでいないようです。まあね、園長がじゃまするだろうさ。
トイトイにお手を教えられる大上くんには笑ってしまいました。
狼なのに……!
そして彼らも登場します。
そう水族館組です。伊佐奈なき後の水族館については休館しているらしい、ってことしかわかっていませんでしたからね。
どうなったのか、気になっていたって人も多いはず。
水族館との戦いを知らないサーカス組の混乱っぷりに笑ってしまいました。
それに答えてあげてるのがタカヒロてのはどうなの?いいけどさ。
動物園と水族館の再会のわいわいがやがや具合は好きですね。
知多マキ好きさんにもこの会話は嬉しいんじゃないでしょうか。
水族館組の来訪理由はどうやったら水族館を運営していけるのか、ということ。
水族館は今まで伊佐奈のワンマン経営でした。
伊佐奈は確かに性格的には問題ありでしたが、あれだけ大きくなった水族館を管理運営していくだけの力は確かにあったのです。
サカマタがいたのならまた話は別だったかもしれませんが、今まで経営に何も関わってこなかった彼らだけでまともな運営が続けられないってのもわからなくはないなぁ。
そんな一角の質問への椎名の答え「クジラマン(伊佐奈)呼び戻せば?」でした。
今までの圧制ではなく、悪いことをしたら怒るそんな仲間として呼び戻せばいい、と。
サカマタと伊佐奈のやりとりが描かれたり、草食動物組が恋バナで盛り上がって、加西くんがウワバミさんに話しかけたり、志久万の呪いが少し解けて素顔が明らかになったりとかなり盛りだくさんの後日談でした。
この時点では椎名の呪いは左腕1本分解けただけで止まってしまいましたが、これから先も楽しく呪いをといていくんだろうな。
【特別読切 僕のヒーロー】
赤マルに掲載された読み切り。
怪物やヒーローがふつうに存在する世界観で、主人公はヒーローの武器を開発販売をする会社の新人営業マンという一風変わった設定です。
作者は気に入っているみたいなんですが、いくつかある堀越さんの作品の中でも私はあんまり好きじゃなかったりします。
まあ、その辺は好みの問題ですね。
それにしても高いところから落ちてきた主人公を抱き止めてしまえる社長(女性)がすごいな。
というか、堀越さんの作品って基本的に女性が強いですね。
あんまり好きじゃないと思っていたこの作品ですが、改めて読むとそれなりに楽しめました。
本当に長くなりすぎました。
堀越さんの作品がまたジャンプに載ることを楽しみに待ちたいと思います。
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