はちみつとバタフライ ~職人工房シリーズ~/幸村アルト
香水工房で職人補佐(プロップマン)をしているアルマは、パートナーの職人シェリーが研究熱心すぎて周りが見えなくなってしまうのが悩みの種。自由すぎるシェリーに我慢できんくなった彼女は、店を辞めてしまう!! けれど、別の店で働きはじめてもシェリーが気になり、様子を見に行くと…!?
以前紹介した
六百頁のミステリーの幸村アルトさんの作品です。
前巻の紹介したときも思ったのですが、この人の作品は非常に可愛らしいです。
画像には出てないのですが、帯に「働く少女は美しい」とあるんですが、ほとんどの作品で働く少女が出てきます。
【トランクドール】、
【はちみつとバタフライ】、
【ビタースイート】は連作というか、同じ街を舞台とした作品です。
【トランクドール】
人形職人・ニコラと職人補佐(プロップマン)・レオンハルトことレオンの話。
ニコラは人形作りの腕は一流なのに、それ以外はてんでダメな少女。
本人もまたお人形みたいな可愛い感じ。
プロップマンとは物作り以外のあらゆる仕事を引き受ける職人にとってはなくてはならない強い絆で結ばれた存在、ってことらしいのです。
が、人見知りで引っ込み思案なニコラは新しくやってきたレオンに馴染めなくて……。
2人が徐々に仲良くなっていくのが読んでいて楽しかったです。
「誰も見たことのない職人」として有名になっていたニコラですが、きっとこれからは少しずつお店の方にも出て行くんだろうなぁ。
人形をトランクに入れるというのを見て、ちょっと
ローゼンメイデン を思い出しました。
【はちみつとバタフライ】
香水職人・シェリーとプロップマンのアルマの話。
表題作ですね。
美人系なイケメンなのに変人なシェリーのあとをアルマがついて回る話とでもいうか。
トランクドールで登場したニコラのお店の店主・クーノとその奥さんでプロップマンであるフランカの仲むつまじい姿を見て不安になってしまうんですね。
そのあとのやりとりで、シェリーのプロップマンをやめてしまうんです。
そのあと別の人のプロップマンとして再就職したアルマだったんですが、シェリーのことが気になってしまうんです。
最終的に、元サヤに戻ってめでたしめでたしとなります。
すごく可愛かったです。
【ビタースイート】
指輪職人のジルとプロップマンとリタの話。
前2作と比べてジルの年齢が若干高いっぽい上、リタが作者が小型犬からイメージしたというだけあってところどころ若干犯罪臭が……。
いや、最後は全然問題ないんですけどね。
正装しているジルは普通にかっこいいんですよ。
ジルの元彼女が登場して、指輪を作ってくれるよう依頼されるわけなんです。
その元彼女・エレナに指輪をおくって失敗したことのあるジルのリベンジがなされます。
可愛らしいんだけど、ちゃんと支えてあげることの出来るリタがすごくいいな、と思いました。
【カフェ・コルベイユの恋】
駆け出しピアニスト・エマとギャルソンで楽譜屋の息子・リュカの話。
カフェ・コルベイユでカフェピアニストとして働くことを夢見るエマ。
主都一のカフェであるコルベイユの採用試験は超難関ながらも採用されることを目指して腕を磨いているんです。
リュカはそんなコルベイユでギャルソンとして働く青年。
エマのいきつけの楽譜屋の息子でもあった、と。
そして行われたコルベイユの採用試験。
お客の前で演奏する二次試験の最中に停電が起きてしまうんです。
ちょうどエマの番でどうなることかと思ったのですが、無事に試験に突破して。
二人は同僚として恋人としてこれからすごしていくようです。
【ドラマチックドール】
元気な少女・マリーとマリーに恋する不器用で一生懸命な少年・テッドと不思議な像の話。
投稿受賞作らしくこれだけちょっと古い作品になります。
だから絵柄もストーリーも他と比べてちょっと違う。
露天商から買った「恋の神様からそ祝福を」と彫られた像。
それを落としてしまって探し回るものの見つからなくて。
回りまわって恋の祝福とともに再びマリーのもとにやってくるんです。
マリーは像を露天商の青年に返すんです。
しかし、それはどこで売ってもそうなるらしく何度も露天商のもとに戻ってくるらしいっていうなんとも不思議な終わり方をします。
正直、マリーとテッドがくっつくと思ってなかったのでちょっとびっくり。
どちらかというと露天商のお兄さんの方と何かあるんだと思っていたのです。
だって、テッドっていかにも主人公に男として見られてない友人キャラじゃないですか。
この手の少年との恋はもうちょっと紆余曲折があってほしいので、ちょっと物足りない感じがしました。
全体的に可愛らしくてほんわかしていて楽しかったです。
職人工房シリーズはこれでおわりなのかな?
このシリーズいろんな職人とプロップマンのパターンが出来そうですね。
もっとこのシリーズ読みたいなと思いました。
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