三人小町の恋 偽(いかさま)陰陽師拝み屋雨堂/田牧大和
憎みたいけど憎めない。
ああ、こいつらと一緒に、働きてぇ!
たった一度、真実を告げたことに思い悩む超絶美男子(似非)陰陽師、雨堂。
師匠に小言、世間に悪態、でも大人になりきれない弟子、おこと。
腐れ縁の雨堂に噛みつく、ぶっとび天才戯作者、甲悦。
仲睦まじい(!?)三人が挑むは、「丑の刻参り」の犯人探し! 呪いの裏に潜んでいるのは――。
真実(ほんとう)が、嘘より偉いって、誰が決めた?
そいつの心が救われるなら、騙したって、いいんじゃねぇか?
失せ物探しに憑き物落とし、どんな悩みも安部晴明の血をひくこの「拝み屋雨堂」が即座に解決いたします――
「恋」と「呪い」の時代小説一気読み必至!
図書館から借りてきました。
スカイエマさんの絵が目を引いたというかこの方の絵結構好きなので、気づいたら手に取っていました。
物語は、インチキ陰陽師・雨堂とその弟子(?)・おことを中心に進んでいきます。
あらすじと表紙で、雨堂こと吉次は青年(せいぜい二十歳そこそこ)かと思っていたのですが、実際は30過ぎ。年齢が明かされたとき、ちょっとびっくりしてしまいました。
おことちゃんも思っていたより若いし(12歳だそう)、そういうものなのかもしれませんね。
物語は吉次のもとに三人の娘から「丑の刻参りで呪われている人物を教えてほしい」というちょっと変わったもの。「犯人を教えてくれ」ではないんですね。
おことは三人娘の依頼に答えるために、調査を開始します。
時代物ではありますが、比較的読みやすかったかと。
まあ、私が手に取って読みたいと思うの時代物は比較的軽い話だからだと思うのですが。
こういう読みやすい作品に出会うとどことなく敷居の高いイメージのある時代物もとっつきやすいですね。
推理というか謎解きめいた話ですが、吉次やおことの心情も描かれていて。
おことが精神的に大人なのは確かですが、まだまだ子供であることもまた確か。
彼女が成長していった先、この2人の関係はいったいどうなってしまうのか……。
おことの子供時代の終わりは確実に見えてきています。
少しずつ成長していく彼女と彼女を見守っている大人たち。
いったいどのような顛末になるのか非常に気になりました。
これ、シリーズ化してくれないかなぁ。
最後の、悪人を懲らしめる話。
おときさんが裏切るわけないと思いつつ、はらはらしてしまいました。
そこまでが作戦の内なんだろうと推測はできるものの、読者には確信がもてませんからね。
途中ちょっと辛い話がされていましたが、最終的には大団円となったこのお話。
元々は雑誌連載だったものを加筆修正して1冊にまとめたもの。
昨年秋に発売されたばかりってこともありこれの続編が出るかはわかりません。
シリーズ化してもとても楽しませてくれそうではあります。いつか続編が出てくれないかな。
[0回]
COMMENT