僕とおじいちゃんと魔法の塔 5/香月日輪
幽霊のおじいちゃんと魔法の塔で暮らす高校生の僕・陣内龍神(じんないたつみ)。塔には、親友の信久、魔女のエスペロス、完全無欠な美貌の先輩・一色雅弥(いっしきまさみ)と、ちょっと騒がしいけれど、楽しい仲間も増えました。そんなとき、妹の晶子の友だちがいじめにあっているという話を聞き、びっくり。しかもそれには、恋愛問題まで絡んでいるらしい。妹の恋話を聞いて、とまどってしまう僕だったけれど――!? 大人気「魔法の塔」シリーズ、第5弾登場!!
先日購入してきた魔法の塔、早速読みました。
あらすじを読んで、今回のテーマはいじめなのかと思っていたのですが、なんかちょっと違いました。
作中の季節は一気に回っています。
秋から春までが今巻で語られています。
あらすじにあるとおり、今巻は龍神の妹・晶子のクラスでのいじめ問題なんかが取り上げられています。
あまりにもタイムリーなテーマだったんで、物語としてだけでなく、香月さんは社会問題にどう切り込むのか気にしつつ読み進めていったんです。
確かに、いじめられています。本当にたわいのないものではありますが、あれもいじめの一種といって問題ないでしょう。
しかし、いじめについてはあまり語られておらず、いじめの原因となった同性愛についての話になってるんですよね。
まあ、彼らの恋愛感だとか、おじいちゃんの過去だとかが語られているのでそれはそれでうれしいんですが。
もしかしたら、いじめの問題が解決の兆しを見せていないことからストップがかかったのかもしれませんね。
前述の通り、晶子のクラスメイト・温子ちゃんがいじめられた原因は同性愛が原因のもの。
彼女が過去に告白した少女が温子ちゃんを気持ち悪く思い、仲間の少女たちと無視していたというものです。
作中で語られていた「同性に恋するお年頃」って何か別の本でも読んだことあるような気がするんですよ。
恩田陸さんの
三月は深き紅の淵をにでてきたおばあさんが言っていた気がするんですが。
三月は~は持っているんですが、ちょっと取り出しにくい位置にあるんで確認できてません。間違ってたらごめんなさい。
そういう「同性に恋する」ちょっと危うい年頃の少年少女を描かれているのが恩田陸さんやあさのあつこさん、長野まゆみさんとかああいう方々なんだろうな、と読んでいて思いました。
今回、そういう同性愛に関する見解もなかなかおもしろかったのですが、おじいちゃんの過去の方も非常に興味深かったです。
香月作品でこういうバックグラウンドがきちんと語られている人物ってあんまりいない気がするので(せいぜい長谷のところのじいさんくらい?)、ちょっと新鮮な気がしました。
ひいおじいちゃんとひいおばあちゃんの話はもちろん、美少年だったらしい江角さんとの話とかめちゃくちゃツボだったんですが。
すごく楽しそうでした。
龍神のシスコンっぷりに笑いました。
というか、「和人はどうでもいい」とかばっさり切られちゃってる和人が不憫で仕方なかったです。和人は和人でお兄ちゃん好きなのにね。
一人頭を抱えるはめになる龍神ですが、普段老成してしまっているくらいだからたまにはあれくらい悩んでもいいんじゃないかな。
晶子と温子ちゃん。
この2人はきっとずっと仲良くしていくんだろうな。
巻末で修学旅行の話がなされていましたが、新学期の話で1冊とか挟まないのかな?
その後修学旅行でも全然問題ない気もするんですが。
次巻の発売時期も内容も不明ですが、楽しみです。
[0回]
COMMENT