支那そば館の謎 裏(マイナー)京都ミステリー/北森鴻
僕の名前は有馬次郎。京都でも指折りの貧乏寺、大悲閣千光寺の寺男だ。怪盗と呼ばれた過去もあったが、縁あって慈悲深い住職に拾われ、表の世界の住人になった。厄介なのは、寺に奇妙な事件ばかりが持ち込まれること。持ち前の身軽さと裏の人脈を駆使、住職の智恵をお借りして、解決にひた走る毎日だ。
京の風情と垂涎の料理の数々も楽しい、本格推理の傑作登場!
昨日の宣言どおり、今日もまたミステリーです。
作者の北森鴻さんは今年のはじめに亡くなられました。
心不全で享年48歳。
Yahooニュースで報じられていたのを見て驚いた覚えがあります。
48歳って若すぎます。
さて、しんみりするのはこれくらいにして本編の感想を。
京都を舞台にした、短編集です。
正直、北海道の田舎にすむ私にとって地名とかよくわからないので、そういうところはかなり流し読みしています。
京都なんて高校の修学旅行でしか行きませんでしたし、それも清水寺のほうに宿があったので、嵐山のほうまでは足を伸ばせなかったというか。
しかも渋滞のせいで予定が狂いまくるというアクシデントつきであんまり……。
まあ偶然ながら西村京太郎さんと山村美紗さんのお宅を見つけたりとかしたんですけど、私以外誰も知らなくて嬉しいような寂しいようなそんな複雑な気分を味わったもんです。
閑話休題。
大悲閣の寺男・有馬次郎こと「僕」がみやこ新聞の折原けいが持ち込んだ謎を自身の特技と住職の智恵を借りて解決していくというのが基本。
京都ならではの事件というか、謎が描かれているので関西圏の人が読んだほうがおもしろいかもしれませんね。
主だった登場人物はこの2人と大悲閣の住職、京都府警の碇屋警部、超マイナーなバカミス作家・水森堅ことムンちゃん。
「よく似た名前の名探偵が活躍していた気がする」と称される碇屋警部ですが、2時間ドラマ好きならすぐにわかると思います。元ネタは山村美紗さんの多くのシリーズで登場する狩谷警部ですね。
北森鴻さんの作品というと、古美術と料理ってイメージがあるんですが、今回もその通り。
おいしそうな料理はこの作品でも健在です。
このシリーズに登場する料理屋は十兵衛。
事件の話はたいていこのお店か大悲閣で行われます。
元怪盗という経歴をもつ有馬次郎が本当の謎解きをしていくさまは中々おもしろいです。
スイッチが切り替わることで寺男は怪盗へとかわる訳です。
うーん、かっこいいですね。
お転婆娘・折原けいは確かリレー小説『
堕天使殺人事件』のキーパーソンだったような……。
ずいぶん前に図書館で借りて読んだのですが、あれは非常に読みごたえがあります。
私が読んだのはかなり分厚いハードカバーで2段組。時間と根性があるのならオススメします。
打ち合わせなしで執筆されたため、読者どころか作者たちもどうなるかわからないというひどくハラハラさせられる作品です。
それぞれの作者さんの他の作品を読んでからだと「ああ、○○さんっぽいなぁ」とか思えて余計に面白いですよ。
これ文庫化されてるんですね。知らなかったです。
今度探そうかな。
これからもう1冊ミステリー?を読みたいと思うのですが、今日中に読み終えて感想を書けるかというと微妙です。
もしかしたら明日になるかもしれませんがご容赦を。
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