ST 沖ノ島伝説殺人ファイル 警視庁科学特捜班/今野敏
玄界灘に浮かぶ沖ノ島。港湾工事現場での不可解な水死事件。現場へ向かった"ST"だが、そこは古代からの社(やしろ)、宗像大社の神域で、島での出来事を語れない"御言わず様"の因習、警察といえども現場への上陸すら許さない厳粛な掟が赤城、青山たちチームを阻む。操作続行不可能か? "伝説"シリーズ、待望の第三弾!
先日購入してきたSTです。
これなら平日でも読めたなぁ、と読み終わってから思いました(笑)
今回の舞台は福岡県。
玄界灘に浮かぶ沖ノ島沿岸で起きた事件にSTが関わっていきます。
事件にSTが関わることになったのは、事件の現場が神域だったから。
許可がなければ上陸することもできず、女人禁制。
上陸するには禊(全裸で海へ飛び込む)が必要。
さらに島のものを持ち出してはならず、島での出来事を話してはいけない「御言わず様」なる掟があるんです。
つまりは現場検証も、鑑識が証拠を持ち帰ることも出来ず、さらには第一発見者などがまともなことを語らないと。
ほぼ地元民である地元警察ではそれを破ることが出来なくて。
STならばそういった因習を気にすることなく捜査できるだろう、という思惑があったようです。
事件自体は大したことないです。1時間半ほどで読み終われる軽いものでしたし。
別にややこしいトリックを使っているわけでもないし、現場が普通のところだったらSTが出張る必要もなく、地元警察の力だけで解決できたでしょう。
ですからミステリとしてはあまりおもしろいとはいえないかと思います。
伝説シリーズは全体を通してあんまり……。
正直、STシリーズは途中から登場人物たちのやりとりを楽しんでいる感があったので、まあいいかな、と。
プロローグとか本当に自由すぎて。山吹さんの紹介モノローグとか笑っちゃいました。
「STメンバーの中で、彼が唯一百合根にとっての心の救いだと言ってもいい。他のメンバーは、気紛れでマイペースだが、山吹だけは、ちゃんと他人のことを気づかってくれる。」(p11)
キャップの苦労がしのばれます(笑)
登場人物たちのキャラがラノベ並みに濃いので、正直会話だけでも十分楽しめますし。
あと、青山くんの食いしん坊キャラ。なんでだ。
途中、島に無理矢理上陸してしまうんじゃないか、とちょっと不安だったんですが、そういうことにはならなくてよかったです。
そういう禁止されていることってのは何かしら意味があるものですからね。
物語の途中で人間嘘発見器の片割れである翠さんが、冤罪の可能性について示唆しているんです。
翠さんは音で、黒崎さんは匂いで興奮状態や緊張状態を感じ、「嘘をついている可能性を示す」わけですが、それはあくまでも状態を示すだけ。
緊張している理由が嘘をついているからなのかもしれないけれど、翠さんの格好に興奮している可能性もあるし、警察に取り調べられるという状況に緊張している可能性もあると。
確かにその通りなんですが、菊川さんなら2人の意見は参考程度で留め置いてくれるんじゃないかな、と無意識のうちで信頼してました(笑)
気にして読んでいたわけじゃないんですけど、今回黒崎さん喋りましたかね?
寡黙な人なので、あまり喋っている印象なくて。下手したら喋ってないかもしれないなぁ。
最後が非常に気になりました。
「異動になるまでは、STで精一杯頑張る。それは間違いなく本音だった。」(p271)
キャップ異動しちゃうんでしょうか?
第3期でもあったこの伝説シリーズは今回で終わり。
次からは新シリーズのようです。封入されていたチラシによると次は過去編なのかな?
文庫化はまだまだ先でしょうが、続きを待ちたいと思います。
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