少年陰陽師 真紅の空を駆けあがれ/結城光流
――命の代わりに、命の次に必要なものを、あの子を失った…時は平安。相棒の物の怪が帰ってきてから、半月。
晴明の末孫・昌浩はいまだ出雲で傷の療養中だった。先の戦いの後遺症で霊力をそがれたうえ、陰陽師に必要不可欠な『眼』までが失われてしまった昌浩は、物の怪の言動に悩み傷つく日々を送っていた。その頃、郷では心が壊れたり行方不明になる人々が続出していて……。少年陰陽師、待望の新章に突入!
ずいぶん久しぶりの少年陰陽師です。
前巻(短編集)が8月末。本編は5月末以来ですか。
本当に久しぶりだなぁ……。
前々巻は紅蓮を救うために、自身の命をひきかえにしたものの、川辺で待つ若菜おばあさまに助けられたところで前は終っていたはず。
今回は昌浩が可哀想で可哀想で仕方なかったです。
自身の思いを貫き通したがためにおきた現象・騰蛇が昌浩と出会ってからの記憶をなくし昔に戻ってしまった――恐れられ、仲間の十二神将たちからも距離を置かれる――騰蛇と接していかなければならないんです。
昌浩が気丈にふるまうからこそ、余計に辛い。
成親が登場して崩れてしまった昌浩に思わず「仕方ないよね、まだ子どもだもんね」と。
神将たちにも彰子にもじいさまにも泣きつくことなどできなかったでしょう。
普段ならここで泣きつくのはもっくんへ、だったんだろうな。
でもこの状況でそれは不可能ですからね。
太陰と玄武がかわいい。
見た目子どものこの2人のやりとりは非常に可愛らしかったです。
太陰と玄武が兄ちゃんを責めるところなんてちょっと笑ってしまいました。
昌浩が精神的に痛かったので、この2人がいてくれたのは良かったな、と。
これで昌浩のそばにいるのが勾陳、六合、騰蛇だけだったらめちゃくちゃ重かっただろうな……。
騰蛇の記憶はこの巻のうちに戻ります。
正直、早くね?と突っ込んでしまいましたが、これ以上は昌浩が可哀想ですね。
最後らへんの「いま昌浩と騰蛇の近くにいくのははばかられる。騰蛇に焼かれそうだ」(要約)に笑ってしまいました。
なんだ、これ。まあ、紅蓮の昌浩溺愛っぷりは公式ってことですね。うん。
幼いころの昌浩も可愛らしかったです。紅蓮は昌浩に救われたってのも記憶をなくしていたときと、“紅蓮”を比べてみるとよくわかります。
もう別人みたいですもん。
それだけ昌浩の存在が大きかったってことなんだろうなぁ。
作中にて謎の人物2人が登場してますね。
そして昌浩の身の内に謎の炎があるらしい、ってのも謎のまま。
この辺が天孤編のキーになってくるのかな、と。
また昌浩がひどい目に遭うんでしょうけど、楽しみです。
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