ぶぶ漬け伝説の謎 裏(マイナー)京都ミステリー/北森鴻
地元弱小新聞の自称エース記者・折原けいに殺人容疑が? 京都の裏情報を取材に来ていたフリーライターが毒殺され、接触していた彼女に警察が目をつけたのだ。マイナーな名刹・大悲閣千光寺の寺男・有馬次郎は、容疑を晴らしてやるため、調査に乗り出すが――。(表題作)
知る人ぞ知るミステリアス京都と、古都ならではの謎解きの妙味、じっくりご堪能ください!
昨年(2010年)お亡くなりになられた北森鴻さんの作品です。
どこかで書いた気がするのですが、私がこの方の死を知ったのはYahoo!ニュースで、でした。
何気なくパソコンをたちあげてIEを開いてトップを見たら、北森鴻さんが亡くなられた旨が載っていて非常にびっくりしたものです。
この方の作品がもつ雰囲気が好きだっただけに続きが生み出されることがないというのが非常に残念です。
『孤狸夢』
バカミス作家ムンちゃんこと水森堅がまたまた騒ぎを起こす話。
きつねうどんとたぬきうどんの違いとか全く知りませんでした。
文章だけでなく、実際見てみたいですね。
カクテルに関しては、お酒まったくといっていいほど飲まないので正直、よくわかりませんでしたがちょっと気になりました。
昔の仲間・カズさんが登場し、これから何がおこるのか楽しみになってきました。
『ぶぶ漬け伝説の謎』
フリーライターが殺され、折原けいが疑われる話。
ぶぶ漬け伝説というのは有名なあれです。
「京都でお茶漬けを出されたら……」というやつ。
なぜあんな話が生まれたのかとかそういうことまで言及されてます。
実際にそういう理由でこの伝説が発生したのかは不明ですが、そういう解釈の仕方もあるのかと関心しました。
『悪縁断ち』
血の海に浮かぶようにして男が殺されているのが発見される話。
折原けいとムンちゃんの暴走により、有馬次郎が事件に巻き込まれてしまいます。
この2人を一緒にしてたらダメですね。
問題しか起こさない。
事件の内容としては結構悲しい。
本当に京都人にそういう性質があるのかはわかりませんが、もう少しどうにかならなかったのかと思ってしまいました。
カズさんが昔への未練を見せているのですが、有馬次郎はもう裏家業に手を染めることはないんでしょうね。
『冬の刺客』
大悲閣に殺人予告(?)がおくられてくる話。
結局、殺人予告なんかではなくムンちゃんの創作なわけですが、本当に人騒がせな話です。
この事件を機に折原けいがみやこ新聞をやめます。
確かに折原けいは記者としてやってはいけないことをしました。
でもやめてよかったんじゃないかなーと思います。
折原けいの考えだとかそういうものは誰かの下については埋もれてしまうものでしょうし、フリーで抑制なくやったほうがいい気はしますね。
『興ざめた馬を見よ』
絵から抜け出した馬をはねてしまったという話が話題になる話。
その話の本当に不思議なところは、その事件が起きたのが1年も前だということなんですよね。
この事件自体はしょうもない結末……かと思いきや、実は結構怖い話です。
『白味噌伝説の謎』
白味噌に毒が混入されて、有馬次郎が疑われる話。
白味噌ってそんなに甘いんですか?
有馬次郎がめちゃくちゃ嫌っているのですが、すごい気になりました。
お姑さんのことを思っての事件でしたが、住職の推理というか予測によるとひねくれ者のお姑さんは余計に白味噌のお雑煮を食べるのではないか、ということ。
本当に皮肉です。
このシリーズ、折原けいはフリーになったし、過去の裏家業仲間・カズさんも登場し、ムンちゃんの暴走はまだまだ続き、有馬次郎は過去から完璧に足を洗って只人っぽくなってきたし、まだまだ続編が登場しそうな雰囲気ですが、もう続編が出ることはぜったいないんですよね。
非常に残念です。
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