おまけのこ/畠中恵
一人が寂しくて泣きますか? あの人に、あなたの素顔が見せられますか? 心優しき若だんなと妖たちが思案を巡らす、ちょっと訳ありの難事件。「しゃばけ」シリーズ第4弾は、ますます味わい深く登場です。鼻つまみ者の哀しみが胸に迫る「こわい」、滑稽なまでの厚化粧がやめられない微妙な娘心を描く「畳紙」、鳴家の冒険が愛らしい表題作など全5編。じっくりしみじみ、お楽しみ下さい!
だいぶ間があいてしまった気がするしゃばけシリーズです。
前回は12月18日なので丸2ヶ月ぶりです。
『こわい』
孤者異(こわい)という妖怪が長崎屋にやってくる話。
妖怪どころか、神仏にすら忌み嫌われる孤者異。
孤者異と関わると不幸の2つや3つ、覚悟しなければならないのだとか。
すごく可哀想な妖でした。
不幸を呼び込んでしまうから誰にも相手にされないようになって、孤独に絶えなければならない。
それが孤者異の性情でしょうから変わるということはまずないのでしょうが、どうにかならないものなんでしょうか。
『畳紙』
お雛さんの悩みを屏風のぞきが聞く話。
お雛さんというのは、以前登場したやたら化粧の濃い娘さんです。
長崎屋から屏風のぞきの印籠を持ってきてしまったため、屏風のぞきがそれを返してもらおうと訪れる、って話。
屏風のぞき、やっぱり好きだなぁ。
お雛さんは屏風のぞきとの邂逅を夢の中の出来事だと思っているのですが、これから先きっとお雛さんの厚化粧を見ることはなくなるんでしょうね。
『動く影』
若だんなが子どものころの話。
影女という影の妖を、栄吉さんや近所の子どもたちと追いかけたって話です。
正直、5歳には思えないほど若だんなが聡明すぎてびっくりしました。
ていうかこの時代って数え年ですよね? てことは4歳?
うーん、すごい。
若だんなにとって影女の存在はけして怖いものなんかではなく、むしろ栄吉さんと仲良くなるきっかけをくれた感謝すべき存在なんだろうなぁ。
『ありんすこく』
吉原の禿を足抜けさせようとする話。
若だんながなんとものんびりしてます。
吉原に行ったんですから、もう少し色っぽい話を……と思わなくもないんですが、まあ無理ですね。
若だんなって多分恋とか愛とかそういうものとは無縁なんでしょう。
そういうのにかかずらってる間はまったくなく、まずは自分の体に向き合うしかなかったんでしょう。
いつの日か、若だんなに恋の話が持ち上がるといいんですけどね。
でもそうすると少し寂しいかもしれません。
『おまけのこ』
鳴家の大冒険。
奪われそうになっていた真珠を守って1匹の鳴家が川を渡り空を飛び大冒険を繰り広げます(笑)
とても可愛らしかったです。
若だんながたくさんいる鳴家の中から長崎屋の鳴家の声を聞き分けられる若だんながすごいと思いました。
嫁入り道具のかんざしに関しては確かにそのとおりだな、と。
かんざしの豪華さの説明を読んでいて思ったのですが、若だんなって松之助さんと栄吉さんがいなかったらいろいろと問題がありそうですね。
両親と仁吉&佐助としか関わりなかったら……。
そう考えるとちょっと怖いですね。
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