1/2のヒーロー 盤古の巻/七穂美也子
案山子神であるクエビコに呼び止められた聖は、かつて災いに見舞われた古代の国を救ってほしいと頼まれる。
異世界・盤古国に導かれた聖は、殺戮を好む忌まわしきの幻獣・マンティコアに遭遇し襲われる。
聖は助けてくれたのは鷹矢に面差しのよく似た王子タガール。
思いがけない出会いに動揺を隠せない聖だったが、聖自身もなぜか従弟の王子として、彼と王太子の地位を争っているようで…!?
1/2のヒーロー 饕餮の巻/七穂美也子
古代の国・盤古でヒュロス王子の肉体に意識を宿した聖は、鷹矢にそっくりなタガール王子と出会う。
彼らは従兄弟で王位継承権を巡り、争う立場にいた。
だが、街で魔物に襲われた聖はタガールが命がけで助けたことで、ふたりの距離は近づいていく。
そして、聖はタガールを王位に就けるため、継承に必要な赤い宝石を求め、地下迷宮へと向かうが…!?
古の都で挑む、未来を賭けた勝負の行方は!?
今回の2冊は続いてるのでいっぺんに紹介したいちゃいたいと思います。
上がバンコ、下がトウテツと読みます。盤古はともかく、饕餮は変換するのがちょっと大変でした。
それでも携帯からも出たんで、現代の機械はすごいです。
番外編みたいなもんなんですかね。過去だといいながらもかなり異世界トリップファンタジーぽいです。
神話にしか出てこないような神獣やら化け物やらが普通に共存していて、不思議な宝石があって、とすごくそれっぽい。
村を歩いていた聖に声を掛けてきたクエビコさまって、前回名前だけちらっとでた神さまですね。
動けないけど何でも知ってるって神さまでしたか。
クエビコさまが物言いはすごく丁寧なのにも関わらず、やることはかなり強引です。
聖は断ったにも関わらず、問答無用で古代国王子の肉体へ、ですからね。
盤古国のしきたりみたいなものにためらう聖。
いとこ3人仲良く育ってきただけあっていがみ合い、従者たちにグチグチ言われるのは聖には耐え切れないでしょうね。
聖は良くも悪くも素直ないい子ですから。
物語が進むにつれ、タガールの意識というか考え方が変わっていくのですが、無意識に嫉妬したりするタガールがちょっとばかし可愛かったです。
そして、どんどん男前になっていくユレイア(譲葉)にやっぱり譲葉と聖はぽんぽん言いあっていてほしいと思ってしまいました。
ラハブ好きです。ああいう無骨ながらも忠誠を誓ってくれそうな人は嫌いになれませんよ。
聖もタガールに嫌われ、親しくしてくれる人のいない環境で彼の存在に救われたところがあったのだろうな、と思いました。
前巻の感想で麒麟のキキ(もしくはお母さん)の再登場を望んでたのですが、実際に出てきたのは角端という麒麟を先祖にもつ神獣でした。
だから前巻で麒麟の章が入ったんですねぇ。
ちょっと気になったのは、このトリップには何の意味があったのか、ってこと。
クエビコさまの話を聞く限り、饕餮の去ったあと平和になったらしいのですが、それはいいんです。
いや、つっこみたいことはあるんですよ?
タガールとユレイアはともかく、ヒュロスの意識というものはなかったわけじゃないですか。
意識が戻ったら、聖に好き勝手やられて自分の立ち位置が決まっていて、もしかしたら知将みたいな役割をあてがわれたかもしれません。
聖にある知識がヒュロスにあるわけもなく、かなりの無茶ぶりだったんじゃないかとか、ヒュロスの意識が置いてけぼりを食らわされてる感がどうも否めなくて。
まあ、そんなこと考えても仕方ないのかもしれませんけどね。
で、トリップの意味ですよ。
盤古は結局滅びるわけです。滅びを少しばかり先延ばしにしたからといって、現代に影響するようなことがあったとはとても思えなくて。
クエビコさまの自己満足なのかな、なんて思ってしまいました。
もしかしたら、その辺のことは次巻以降で明らかになるかもしれませんね。
次巻は東京編らしいです。とうとう東京に行くんですかね。楽しみです。
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