上と外 上/恩田陸
両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年一度、集う夏休み。中学生の練は妹・千華子、母とともに、考古学者の父がいる中米のG国までやってきた。密林と遺跡と軍事政権の国。すぐさま四人はクーデターに巻き込まれ、避難中のヘリから兄妹が落下、親子は離ればなれに!? 疲労困憊でさまよう二人の身に、異変が……。息もつかせぬ面白さの新装版上巻。
上と外 下/恩田陸
千華子を人質にとられ練は、ニコと名乗る少年から危険なマヤの儀式への参加を強制された。それは生死をかけて争う苛酷なレース。刻一刻と過ぎる時間。制限時間まで残りわずか――。しかし、そのとき国全体をさらに揺るがすとんでもないことが起こった。神は二人を見捨てるのか。兄妹は再会できるのか。そして家族は? 緊迫と感動の新装版下巻。
今日は久しぶりに恩田陸さんの作品です。
午後から読み始めたのですが、上巻を読み終えた時点ですでに3時半。下巻を7時までって無理じゃないか、と自分でも諦めかけたのですが、以外といけちゃいました。
上巻447ページ、下巻506ページ。総ページ数953ページ。
元々薄いとはいえ、6冊あったモノを2冊にしたわけですから1冊があつくなってしまうのも仕方ないですね。
久しぶりに充実感というか、読書をしたなという実感を覚えました。
物語の舞台は中米G国(モデルはグアテマラらしいです)。
主人公はけっこう複雑な家庭環境にある中学生・練とその妹で小学生の千華子。
すでに両親は離婚しているものの、毎年、年に一度夏休みに家族4人揃ってすごしていたのです。
今回は父が暮らしている中米G国に赴きます。
そこで、母から爆弾発言があったりしてギクシャクした雰囲気の中、クーデターに巻き込まれ練と千華子はヘリコプターから密林へ投げ出されてしまいます。
練と千華子が密林の中を冒険し、家族と合流しようと頑張る話です。
2人がお互いを支えあい、密林の中をさまよい、遺跡をさがす様子は読んでいてためになると同時に、おもしろかったです。
読み終わった今も、『成人式』に何の意味があったのかとか、なぜマヤの人々は噴火を予知できたのかなど、謎の部分も多くありますが、それでも絶望的な力の差のあるモノに挑むっていうのは、読んでいてどうなってしまうのだろう?とハラハラドキドキさせれらました。
ニコと練のやりとりに萌えかけました。
まあ、ほとんど会話してるだけなんですけど、あの状況におけるニコの存在というのは不気味でもあり、信頼できるものでもあり、と練からしたらなんとも奇妙な存在だったんだろうな。
母親である千鶴子の変貌っぷりがよかったです。
はじめの恋する女性というのはそれはそれでよかったのですが、家族がバラバラになる前夜の彼女の言動は読んでいてイラっとさせられましたから。
そう考えると、最後身を挺してまで娘を助けたというのはすごくよかったな、と。
正直、中途半端にスポットのあたった従兄弟や叔父ですが、もう少しスポット当ててほしかったなぁと思いました。
従兄弟の方が結構好きな感じの性格だったので。
おもしろかったです。
ちょっと大作すぎるきらいはありますが、夏休みにでも読んで欲しい作品です。
新装版じゃない方なら1冊1冊はうすいので、比較的楽によめるんじゃないかな?
まあ、手に入れるのはちょっと大変かもしれませんが。
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