古道具屋 皆塵堂/輪渡颯介
実家の道具屋を継ぐため、太一郎は曰くつきの品が集まる「皆塵堂」で修行することになった。だが幽霊なんて信じないとうそぶく太一郎の周りで、痩せ刀や美しい薪絵櫛などにまつわる不思議な出来事が次々と巻き起こる。店主の伊平次や幼なじみの巳之助に助けられ、太一郎は思い出せない自らの過去を追うが――。
商売道具は“憑き物”だらけ。幽霊(こいつら)なんか大っきらいなのに!
切なくて、ほんのりおかしい人情怪談騒動記
図書館で借りてきました。
はじめ、作者の名前が「わたり」か「わわたり」なのかわからなかったんですが、表紙に小さくローマ字で書いてあってわかりました。
「わたりそうすけ」って読むらしいです。
【道具屋には向かない男】
【鰻の住み処】
【鈍刀(なまくら)が切る縁】
【その娘はやめておけ】
【猫屋敷に棲むもの】
の5編が収録されています。
連作短編集です。
時代小説なんですが、読みやすいです。
かなりすらすら読めました。
知らなかったのですが、この方
メフィスト賞受賞された方なんですねー。
メフィスト賞受賞イコールかならずしも読みやすいって訳じゃないのはわかっていますが、実力のある方が多いのも事実なので、道理で、と思ったのも事実です。
物語の主人公は、太一郎。
幽霊を見てしまう体質で、それを人には話さずに秘密にしている青年です。
跡継ぎとされていた弟が亡くなってしまったことで、実家の道具屋を継ぐことになり、皆塵堂で修行をすることになります。
あらすじを読んだときに一番最初に思い浮かんだのは、
畠中恵さんの
つくもがみ貸しますでした。
帯に「幽霊(こいつら)なんか」ってあるので、幽霊とわいわい会話してあーだこーだやって事件を解決していく感じかな?と想像していたんです。
実際、読んでみたら、想像とはだいぶ違いました。
どちらかというと、
おいち不思議がたりに近いかもしれません。
この作品に登場する幽霊はほぼ物を言わずに何かを訴えてくる感じなんです。
が、幽霊を見るのはほぼ太一郎一人だし、太一郎は最後の方まで自分が幽霊を見るということを人に秘密にしていましたから誰かと相談するってことがないんですよね。
でもまあ登場人物たちのキャラがいいので、そういうことがなくても楽しめました。
終わりがあんまりあっさりしていたので、続編出ているのかな?と思って調べてみたら、つい最近(4月末)、
続編が発売されたよう。
図書館で買ってくれるかはわかりませんが、あったら借りて来たいと思います。
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