これがマのつく第一歩!/喬林知
毎度おなじみ高校生マ王のおれ・渋谷有利(ユーリ)は、護衛(おもり)役のヨザック、小シマロン王サラレギー、そして大シマロンの死者コンラッド、という微妙なメンバーで、神族たちが住むという聖砂国への船旅を続けていた。ところがそこにハプニングが……!
一方、地球に取り残された親友の村田健(ムラケン)は、いつもと違う(=すぐに帰ってこない)おれを心配して、ついに大胆行動を起こしてしまう。――で、これからおれたち、どうなっちゃうの!?
かなり久しぶりのまるマです。
前巻を紹介したのが昨年10月で番外編でしたから、純粋な本編は
海の果て(8月紹介)以来の10ヶ月ぶりです。
今回は本編と短編
『マ王陛下の優雅な一日』が収録されています。
まず、本編。
なんというかもう読んでいて辛い。いや、この後の話も途中まで知っているんでこの程度って思う気持ちのもあるんですけどね。
コンラッドの行動が謎です。
『海の果て』のときはヨザックと協力してユーリを助けているんです。
が、今回のコンラッドは逆にユーリを荒れた海に突き落としています。
この相反する行動にはいったいどんな意味があるのかってことですよ。
ちょっと思ったのは、コンラッドはユーリを聖砂国に連れて行きたくなかったとかなのかな、と。
こちらにいるよりは格段に安全である地球にいてほしかった。
ユーリが足を滑らせた一瞬ってのは、スタツアによる引き寄せる力が働いていたので、それを後押ししたかったってことなのかな、と思って読んでいました。
今現在、サラレギー(というか大シマロンか?)の元に身を置いているコンラッドですが、ユーリが第一ってのは変わっていないとおもうのです。
何か理由があってこういう行動をとっていると信じたいだけでもあるんですけどね。
サラレギーとの問答は、読んでいて非常にイライラしてしまいました。
ユーリ(というか日本人?)にとって信じられない出来事に対して反発するんですが、それについて突き詰めて質問されると答えられなくなってしまうんですよ。
まあ、仕方ないのかなーとも思います。
ユーリはあくまでただの高校生でしかないんですよ。
魔王なんてやってますけど、けっこう行き当たりばったりじゃないですか。
ここに村田がいればまた違ったんでしょうけどね。
彼の経験はかなりのもの。村田としての知識もそれ以前の知識もフル活用して言い負かすことができそうです。
そして、一方の村田サイドです。
今まで、ユーリがスタツアったときは眞魔国で数ヶ月を過ごそうとも地球に帰れば長くても数分しかたっていないという状況でした。
しかし、今回はそうではなくて。
何時間たっても戻ってこなかったらしいのです。
どうにか美子さんを誤魔化すことには成功するものの、勝利に疑われてしまうんです。
いったいどうなってしまうのか、とハラハラしていたら、村田は希望を見出します。
それというのは勝利とボブが知り合いだったということ。
過去アンリ・レジャンであった村田はボブ=魔王ということを知っています。
(詳しくは
お嬢様とは仮の姿!を参照で)
どうにかして、ユーリのもとに向かおうとするもののなかなか難しいようです。
そしてブラコン勝利は勝利で、ナイアガラの滝を逆流させようと動き出します。
最後は、魔族の皆さんたち。
ヴォルフラムをはじめとした面々はユーリの後を追おうとします。
しかしながら、ヴォルフラムやギュンターといった面々は魔力が強いため法力の力が強い聖砂国に近づくことすらできません。
そこでヴォルフラムに秘術が施されます。
……ちょっと割愛させてください。さすがにこれは読んでいてかなり微妙な気分になりました。
ギュンターのキャラがぐだぐだなのはいつものことですが、もうちょっとどうにかならなかったのかな。
そして、少ない戦力をおぎなうために敵であるアーダルベルトとマキシーンも連れサイズモア館長のうみのおともだち号で聖砂国に向かいます。
短編は、時間軸不明オールキャラのかなり平和な話。
あ、オールキャラっていってもグウェンダルとか名前だけだし、ヴォルフもほんの少ししか出てないですね。
グレタがめちゃくちゃいい子です。
そうなんですよ、グレタの初登場はユーリを暗殺しようとしていたんですよね。
この子がアニシナさんにあこがれを抱いているのはちょっと怖いんですけど(笑)
殺伐とした話が続くのでこういう話もいいですね。
まあ、その分本編との落差に余計沈みそうになるんですが。
おもしろかったです。
なんとも中途半端なところで終わっているのでそのうち続きも読んでしまいたいと思います。
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