目隠しの国 8/筑波さくら
温泉旅行も無事に終了。ツキがあるのかないのか、微妙な日々を過ごす並木だが――。一方、"力"の事実が親友エリに優しく受け入れられ、ほっとしたかなで。それも束の間、火事を見つけたかなでは現場へ…。この騒ぎの中、あろうのとったある行動をエリが目撃してしまい!?
目隠しの国 9/筑波さくら
母が最後に暮らした場所でもある宗の家で、過去を見てしまったあろう。それは辛い思い出だったが、母に愛されていたことも同時に思い出す…。そして、その時の事件がもとで、あろうの『力』が強くなったこと=『目隠し』がとれたことも明らかに。それを知った宗は――!?
前巻を紹介したのが2月のことですから、ちょっと間があいてしまいました。
こんなにあけるつもりはなかったんだけどなぁ。
8巻には
【31話】~
【35話】、9巻には
【36話】~
【40話】=
最終話までが収録されています。
並木さんやあろうくんの誕生日を祝ってみたり、ダンスパーティーの準備や当日を楽しんでみたりと平和な話もある一方で、後半はめちゃくちゃ重い。
作者が柱でかなり気にしてましたが、過去に読んだときはもっと重い印象があったので逆にあれ?となってしまいました。
あ、あとあらすじにもある通り、エリちゃんにあろうくんの能力がばれてます。
前巻のかなでっちゃんの能力を受け入れたときも思ったんですが、エリちゃん本当に男前です。
かなでっちゃんとあろうくんへの対応で触れることに対して違いがあるのは、二人の能力レベルの違いが原因なのかな?
あろうくんの目隠しはどこかへ行ってしまった状態で、一方、かなでっちゃんはたまに目隠しがずれる程度の能力なので。
かなでっちゃんの未来とは違い、あろうくんが見る過去にはある程度予測が出来るから事故の直後であろうくんのことを思っての行動だったんだろうけどなぁ。
これはかなでっちゃんだから言える言葉ですね。
そして、前巻あたりから不穏な空気を出してた宗さん。
この人のせいでめちゃくちゃ重い話になっているといっても過言じゃありませんね。
この人の目的は自分の力を強くして亡くなってしまった自分の妹でありあろうくんのお母さんであり早苗を過去のヴィジョンの中に見ること。
宗さんの能力は、並木さんほど頑張らなくても2、3日程度の過去を見ることが出来るんだとか。
早苗さんが亡くなったのはもう何年も前のことで、宗さんはそれを見ることが出来ないわけですね。
で、あろうくんはショックからか早苗さんが亡くなった前後のことを覚えていなかった。
宗さんはショック療法とでもいうべきか、あろうくんにその『過去』を見せることで自身の力の強化に役立てようとしていたわけですね。
目隠しをなくしたきっかけは『大切な人の危機を救うため強く強く思うこと』。
だから宗さんは『大切な人』であるあろうくんを道路に突き飛ばそうとしてみたり、危機的状況を作り出そうとするわけです。
ですが、宗さんにとってあろうくんは『大切な人』だからそんなことが出来るわけがない、と。
正直、宗さんがなぜそこまで早苗さんを大切に思っているのかわからないので、そこまで感情移入できないのですが、宗さんがあろうくんを殺しかけるという最悪の未来を迎えなかったことだけはよかったと思います。
ラスト、雪山で遭難したかなでっちゃんを救うため、力を使いすぎて消えてしまったあろうくんが再び姿を現すところには鳥肌が立ちました。
エピローグ的な数ページになんかいいな、と思えました。
万人に受け入れてもらえるわけじゃないけど、それでもわかってくれる人はいる、一人じゃないというのはとてもいいな、と。
面白かったです。
この作者さんの作品、もう1シリーズ持ってるのでそれもまた折を見て紹介していけたらな、と思います。
[2回]
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