ドラゴンラージャ 11 真実/イ・ヨンド(訳/ホン・カズミ)
クラドメッサのもとへむかう前夜。眠れずにいたフチは、剣を手に庭で体を動かしていた。レニもやってきて、その光景を見まもっていると、突然シオネが現れ、レニを連れさろうとした。フチは仲間を呼ぶが、シオネが攻撃をしかけてくる。絶体絶命の危機に。現れる巨大な影。トロールの聖職者エデリンだった。
狂気のドラゴン、クラドメッサをめぐる人間種族の抗争劇。
ついに決着!?
図書館から借りてきました。
この作品、全12巻なんですが今回あまりにもなところで終わっているので、12巻も借りてくればよかったと後悔しています。
あらすじにもあるとおり、今回ようやくクラドメッサのもとへたどり着きます。
はじめ、フチ、サンソン、カールの本来の旅の目的は、ブラックドラゴン・アムルタットにより人質にとられたヘルタントの人々を救うための身代金(宝石)を調達することでした。
しかしながら、本当にいろいろあって。
目覚めようとしているクラドメッサにラージャをあてがおうと、ラージャを探すことからはじめたんですよね。
その途中でネクソンやハルシュタイル侯爵の妨害にあい、様々な目にあい、ここまで長い話になったんですよねぇ……。
途中、300年前の真実が明らかにされたりもしたから余計です。
300年立つ今もなお影響を与え続ける大魔術師・ハンドレイクの生存が断言されます。
ハンドレイクは、死の間際シオネによってバンパイアへと変貌させられていたのだとか。
すでにわかっていたことではありますがハンドレイクはシオネを救いました。
しかしそれだけでなく、トロールのエデリンに言葉を与え、レニをイルスの港町まで連れていったのもハンドレイクだったんですよ。
もうびっくりです。
そしてようやくクラドメッサのもとにたどり着きます。人間たちのクラドメッサを巡る争いにも一応決着がついたといって問題ないでしょう。
ある意味、最悪の状況ですけど。
クラドメッサは自身のラージャとしてレニを拒みました。
クラドメッサは人間とともにあったことで、自身が人間のような考えを持つように変質してしまったことを恐れ、その一方で、寂しさを抱えてもいた。
レニとの邂逅は、クラドメッサの心を刺激し、揺らしたでしょうが、比較的平和的に終わるはずでした。
けど、そう簡単にはおわりません。
フチたちの後を追うようにやってきたハルシュタイン侯爵、ネクソンとの三つ巴になるんです。
そして、クラドメッサはネクソンを選んだ。
契約がなされた次の瞬間、ネクソンはシオネに殺されてしまいます。
ドラゴンとラージャの関係はもう一人の自分、あるいは自分自身とでもいうべきか。そういう存在なんだとか。
クラドメッサは前ラージャであるカミュを亡くしたことで暴走した前科があります。
だからこそフチたちはレニを探し、クラドメッサと契約させようとしていたのですからね。
今回もまたクラドメッサは暴走します。
シオネがネクソンに協力していた理由はその辺にあったようですね。
ラージャを亡くしたことで恐慌に陥ったドラゴンによる破壊を望んでいた、ってことでしょう。
それを止めにやってきたのは同じドラゴンであるジゴレイド。
そして、イルリル。
レニは残酷な判断を迫られます。
暴走するクラドメッサを倒すためにジゴレイドと契約するか、このままクラドメッサの思うがままに蹂躙され続けるのを見守るか。
フチのたとえによると、レニにとっては「狂った息子をもう一人の息子に討ち取らせるか否か」みたいなものらしく。
レニがどちらを選ぶのか、ってところで今巻は終わり。
めちゃくちゃ気になるんですが。
次巻で長かったこの話も終わりです。レニはどちらを選び、どちらのドラゴンに軍配があがるのか。フチたちは無事、アムルタットから人質を取り戻せるのか。
楽しみです。
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