老人と海/アーネスト・ヘミングウェイ(訳/福田恆存)
キューバの漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。三日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく……。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。
図書館で借りてきました。
以前、
読書ログで課題図書になっていたな、と思って手に取ってみました。
私、こういう文学作品を読むのは教科書以来かもしれないです。
あらすじにもある通り、物語は老人・サンチャゴが巨大なカジキマグロをつりあげ、自分の家に戻るまでの様が描かれています。
長い長い不漁のあとに3日間もの死闘をこえて巨大なカジキマグロをつりあげるわけですが、そのカジキはあまりにも巨大すぎて舟に乗らないんですね。
なので、舟と結び付けて運んでいくわけですが、途中何匹ものサメに襲われるんです。
そのため港にたどりついた時には、立派なかじきは骨と尾びれを残すだけになっていたという話。
文量的には中編になるのかな?
これ1本で文庫化してるけど170ページほどとかなり薄いです。
もしかしたら児童書の文庫版より薄いかも。
しかも、翻訳者の解説?がかなり多くて本編自体は150ページもありません。
読み終わった感想としては、微妙。
文学作品ってどうしても小難しいイメージがあったんですが、この本は思っていたよりかなり読みやすかったです。
前述の通り、短い作品なので数時間で読み終えることが出来ました。
淡々と進む物語は、盛り上がるということもなく、老人に感情移入できないまま読み終わってしまいました。
あらすじの時点で老人がカジキをつりあげるものもサメに食べられてしまうことも明かされているのも悪かったかもしれない。
もしあらすじを先に読んでいなければ「老人は魚をつりあげられるのだろうか?」とワクワクまでいかなくても気にして読み進められたでしょうし。
現代日本人でインドア派である私にとっては、3日かけて魚との勝負に挑み続ける老人の行動が正気の沙汰とは思えませんでした。
巨大魚1本つるのに3日かけるくらいなら、中くらいでも毎日釣った方がいいのでは?と思っちゃうんですね。
その辺は男性と女性でまた感じ方が違いそうです。
作中で老人は海を女性的な扱いしてましたが、この物事は非常に男性的。
港に戻った老人に残ったのは、巨大なカジキマグロを釣り上げた証拠である骨と尾びれ、そして少年の存在のみ。
金にならない割に、多くの網や銛など道具を失い、さらに疲労と怪我は酷い。
正に踏んだり蹴ったりだなー、なんて思っしまうんですね。
しかし、老人や少年は満足そう。
この辺は男のロマンってやつなんでしょうね。
大間のマグロ漁のイメージが近いかもしれないなーなんて思いました。
図書館で特集コーナーに並んでいたこと、読書ログで過去に課題図書になっていたこと。
それがなければこの本を読むことはなかったでしょう。
いつもこういう作品というのはキツイですが、たまにはこういう作品もいいですね。
[1回]
COMMENT