マレー鉄道の謎/有栖川有栖
マレー鉄道を訪れた推理作家・有栖川有栖と臨床犯罪学者・火村英生を待ち受ける「目張り密室」殺人事件! 外部へと通じるあらゆる隙間をテープで封印されたトレーラーハウス内の死体。この「完璧な密室」の謎を火村の推理は見事切り伏せられるのか? 真正面から「本格」に挑んだ、これぞ有栖川有栖本格の金字塔!
図書館で借りてきました。
私、有栖川さんの作品って中途半端にしか持ってないんですよね。
それというのも地元の本屋でほぼ扱っていないので、古本屋でしか購入してないからなんですが。
図書館も中途半端にしかないからこれからどうしようかな。
さて今回の舞台はマレーシアです。
あとがきに「建築探偵シリーズでマレーシアとタイに取材にいった篠田真由美さんにお願いをした」とあったのですが、それって桜闇か何かでしたっけ?
私、建築探偵シリーズもまた中途半端にしか読んでいない上に、学生時代に読んで以来なのですっかり忘れてしまっています(汗)
このシリーズは一部例外もあるものの基本的にアリスの視点で進みます。
なので、アリスの英語力にあわせて会話分の中に『×××(聞き取り不能)』とか『×××(○○か?)』みたいな推測が多く含まれます。
火村先生は英語は完璧っぽいのですから、訳してやれよ、と思わなくもなかったです。
事件自体はなんとも不可解なものでした。
胸を一突きにされ、躊躇い傷はなし、それなのに現場は目張りされ、そのテープには被害者の指紋はついていない。さらには遺書も見つかります。
死体は他殺を物語っているのに、状況証拠は自殺を指し示している。
一体どういうことなのだろう、とアリスたち同様首を傾げてしまいました。
イギリス人作家の扱いが悪かったですね。
最初は普通にいい人なのかと思っていたのですが、事件の取材をはじめてその高慢さが見えてきて。
でもああいう目にあうほど悪い人だとは思いませんでした。
なので本当に「かわいそうなアラン」です。
相変わらず、アリスと火村先生のやりとりは読んでいておもしろかったです。
この2人の組み合わせは非常に萌えます。
途中、「なんでお前と英語で話さなきゃならないんだ」には非常に萌えた。
確かにそうなんですけどね。
トリックは正に思いもよらない、といった感じでした。
正直、トレーラーハウスの見取り図とかちらりと見て文章を読み進めてしまっていたので、まったく気づけなかったです。
最後、ワンフーが死ぬことになった1番の原因というか、彼をたきつけた人物を責めることは出来ないんじゃないかな、と思いました。
あの人がああいう行動をとったのも理解できるというか。
友人が疑われたり、タイムリミットが迫ったり、海外ということもあり捜査に違いがあったりといろいろと問題のある事件でしたが、おもしろかったです。
火村先生が帰国をずらせなかった理由――奇奇怪怪な事件に巻き込まれた京都の旧家から相談を受けたとのことなんですが、その事件もいつか読んでみたいな。
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