おいち不思議がたり/あさのあつこ
おいちは十六歳。江戸深川の菖蒲長屋で、医者である父の仕事を手伝っている。おいちが他の娘と違うのは、この世に思いを残して診だ人の姿が見えること。
そんなおいちの夢に、必死で助けを求める女が現れる。悩みながらも己の力で人生を切り拓き、医者を目指す娘が、自分に宿った不思議な力を生かし、複雑にからみ合う因縁の糸を解きほぐしていく、青春「時代」ミステリー。『ガールズ・ストーリー』を改題。
この間購入したあさのあつこさんの作品です。
あさのさんの作品って主人公が少女だとあまり好きじゃないものが多いのです。
だからあらすじを読んで主人公が少女であることに、購入することをちょっとためらったのですが、今回はあたりでした。
この作品結構好きです。
あらすじ、というか表紙を見ただけでも見当がつくと思いますが、この作品は時代小説です。
ですが、そう難しい言葉が使われているわけでもないですし、比較的読みやすいと思います。
畠中恵さんの作品ぐらいしか時代小説を読まない私でも理解できました。
正直、
香月日輪さんの
大江戸妖怪かわら版よりは断然読みやすいです。あれは江戸っ子の台詞がわかりにくい。
主人公はおいちという少女です。
父・松庵の手伝いをして生活していましたが、年頃の娘がそんなことでは、と叔母であるおうたが縁談を持ち込んでくるのです。
が、その縁談先である『鵜野屋』に何かあるらしいことを知り、真相を知ろうと動き出します。
おいちの持つ能力はなんていったらいいのかな。
ちょっと説明が難しいのですが、命の危機を知らせたり、死者の思いを伝えたりとかそういったもの。
ぼくらの心霊スポットのヒロの能力に近いのだと思います。
そういや、テレパシー少女の蘭もちょっと似たところもあったかな?
もう何年も前に読んだものなので細部を忘れてしまっているので、間違ってるかもしれませんが。
その力で、『鵜野屋』で続いたという死の真相について迫っていきます。
登場人物(というか犯人候補?)がそう多くないので、ミステリー慣れしている方なら途中で犯人がわかるかもしれません。
私はミステリーを数だけは多く読んでいるので、そう驚くこともなく。
基本的に、犯人を当てようと思って読むことってないんですけど今回は「やっぱりこの人か」ぐらいの感想でした。
なので、ミステリーについてはあんまり期待しない方がいいかもしれません。
途中で、おいちに惚れる青年(?)・新吉さんがすごく気になります。
ほんの少ししか登場しないんですが、ああいうキャラクターは嫌いになれません。
おいちとくっつくとは思えないんですが、ちょっと頑張っておいちの心を揺らすぐらいはしてほしいなぁ。
物語的には伏線というか、語られていないことが残っているのでシリーズ化させることが出来そう。
このシリーズなら続きを読みたいです。
改題前の
ガールズ・ストーリーが2009年12月発売ってことは続き出す気ないのかな。文庫オリジナルとかで発売してくれるといいのですが。
いつか、続編が出てくれると信じて気長に待ちたいと思います。
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