明治・妖モダン/畠中恵
どれだけ世の中が変わろうと、江戸とは地続き、時続き。
人知れず、ひっそりと働いているのは……。
文明開化の世の中で妖たちはどこ行った?
摩訶不思議な妖怪ファンタジー
「江戸が終わって20年。妖たちが、そう簡単にいなくなると思うかい?」
煉瓦街が広がり、アーク灯が闇を照らす銀座に、ひっそりと佇む巡査派出所。
そこに勤務する原田と滝は"かまいたち"に襲われた者や、瞬く間に成長を遂げる女の子の世話など、不思議な対応に追われてばかり。
それは、とてもこの世のものとは思えず……。
図書館で借りてきました。
結構久しぶりな
畠中恵さんの作品です。
【第一話 煉瓦街の雨】
【第二話 赤手の拾い子】
【第三話 妖新聞】
【第四話 覚り 覚られ】
【第五話 花乃が死ぬまで】
が収録されています。
畠中さんお得意の妖モノってだけでも興味が惹かれるし、あらすじに明治20年頃の巡査ってあるので、同時代を描いた「
若様組まいる」や「
アイスクリン強し」のキャラが登場するのかな?と発馬当時から気になっていたんです。
が、実際読んでみるとミナも長瀬も登場しなくてちょっとがっかり。
「築地近くで、そりゃあ美味いワッフルスを手に入れたんです。」(p116)
以前新聞社が仕事で、菓子職人と縁を作った事を話す。(p117)
とあり、この菓子職人がミナのことっぽいんですが、明言はされてません。
まあ、私が見逃しただけでもっとクロスしていてもおかしくはないんですが、さすがに確認する気にはなれませんでした。
なんというか、ものすごく中途半端な印象を受けました。
いつものごとく何か事件が起こり、それを登場人物たちが協力して解決していくのかな、と思って読み始めたのですがこれじゃない感が付きまといました。
巡査の滝と原田、牛鍋屋の百賢とその妹、三味線の師匠のお高、煙草商いの赤手あたりがメインとなって様々な事件に関わっていくことには変わりないんですけどね。
人の世に妖たちが紛れているって設定はなかなか魅力的ですが、登場人物たちの正体が明確にされないのは微妙。
明かさないならもっと幻想的な話にしてほしかったです。
畠中さんの文章なら逆にさっさと明かしてキャラクターたちの掛け合いを楽しむ話にした方がよかったんじゃないかな。
現実から離れられないまま読み進めたので余計中途半端な印象を受けたんでしょうね。
続編が出ても借りないかも。私は畠中さんにはもっとライトな作品を期待しています。
[2回]
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