0能者ミナト 3/葉山透
葉山透が贈る現代の伝奇譚
死なない死刑囚を殺してほしい。まるで、矛盾しているかのような奇妙な依頼。
対面を果たした死刑囚は物静かで端正な面立ちの青年だった。だが、その本質を知れば慄然とする。不死者ゆえか、死を愛する殺戮者。しかも、あらゆる方法をもってしても蘇るというのだ。
自分の死が楽しめないから殺すのだとうそぶく青年。いかなる怪異が不死をもたらしたのか、本当に殺すことはできないのか? 異端者、湊の知性がその謎に挑む!
この本、昨年のうちにでていたらしいですね。
先月店頭で見かけるまで知りませんでした。
あ、これで葉山透さんの作品が3つ目なのでカテゴリ作りますね。
今回収録されているのは
『蘇』と
『夢』、そして閑話の
『贈』です。
まずは、
『蘇』。
あらすじにある話です。
……蘇、一文字だけ見ると
アホリズムの袴田くんを思い出してしまいます。そういや最近彼出てきてないなぁ。
死なない死刑囚・姫川はなぜ死なないのか。
そして、どうやったら殺せるのかが主題となります。
まあ、この2つは表裏一体の事象というか片方わかればおのずともう片方もわかってくるんですけどね。
この姫川、私の中での脳内イメージは
鋼の錬金術師のキンブリー(あってますよね?)だったりします。
ちょっといっちゃってる青年であり、囚人で。
会話を楽しむことが出来る頭を持ちながら、自分の快楽に弱いというか。
殺人を楽しむことが出来る、と。
ちょっと似てませんか?
さて、本編に戻って。
彼が死なない理由は怪異でもなんでもなく、仏様の「無病息災」のご加護だった、と。
赤ん坊のころ、空襲に遭遇し、親をなくしながらも生きながらえていた赤ん坊を見つけた一人のお坊さんが祈ったんです。
「せめてこの赤子に無病息災を」と。
その祈りに天が答え、病気からも怪我からも守っていたんです。
だからこそ、老人といっていい年齢であるにも関わらず、容姿は青年のままだったと。
無病息災は病気や怪我から姫川を守るものであることを逆手にとって湊は姫川を殺す手段を見つけだします。
今回の科学的現象は比較的わかりやすいですね。
たぶん、聞いたことある現象じゃないかと思います。
最後の、湊と沙耶ちゃんのやりとりは嫌いじゃないです。
次、2話の
『夢』です。
「夢の怪異といえば」って感じの今までの怪異よりもかなりメジャーな怪異が登場します。
それは夢魔。サキュバスとかインキュバスともいいますね。昔、夢魔の漫画ありましたよね。
幼いながらも
りりむキッスはけっこうちゃんと読んでいた記憶があります(笑)
いかにして夢の中に潜む夢魔をいぶりだすか、って話。
ユウキ→沙耶が可愛くて好きです。
そうですよね。沙耶って美人で優しい近所のお姉さんを地でいくというか。
小学生男子の初恋相手としては理想的です(笑)
夢魔に矢を射る沙耶ですが、こういう子ってキレたら怖いんだろうなぁと思って読んでました。
いつもの通り、閑話は大人3人組の会話で終わっています。
次巻は豪華客船での事件になるようですね。
あとがきでは特に次巻については言及されていませんが、また楽しみです。
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